Dr.石川の健康長寿ナビ vol.6
テレビやラジオでおなじみの石川恭三先生(杏林大学名誉教授・医師)に健康で長生きするためのコツを教えていただきます。
今月は「朝の運動はススメない」です。
9月「朝の運動はススメない」
(朝の時間帯は脳卒中や心筋梗塞が発症しやすい)
ピリッとした朝の空気を吸ってのウォーキングやジョギングは気持ちがいいのですが、高齢の方、心筋梗塞になったことのある人、狭心症の人、不整脈のある人、高血圧の人などは早朝のウォーキングやジョギングなど野外の運動は控えたほうがいいと思います。
早朝は就寝中の「休め」という自律神経の副交感神経から「働け」という交感神経へと切り替わる時間帯です。この時間帯では自律神経の嵐が吹くとも言われており、急に交感神経の緊張が高まり、血圧が上昇し、心拍数が増加します。しかも、血管内で血液がかたまりやすくなりますので、心筋梗塞、狭心症、脳卒中などが発症しやすくなります。
じっとしていても、このような大きな環境の変化が体の中に起きているのに、そのうえさらに運動することで体に負担をかければ、交感神経の緊張を一層高め、事態の悪化を引き起こすことにもなりかねません。
それでも朝、ウォーキングやジョギングなどの野外の運動をしたいという人は、まず、寒い日や雨の日や風が強いなど、天候がよくない日には控えるようにしたほうがいいと思います。そして、出かける前には血圧や脈拍の測定をして、それが平常通りであることを確認してください。携帯電話を持つか、1人ではなく何人か一緒になさるといいでしょう。もちろん、いつでも水分補給ができるような準備も大切です。もし、少しでも体調がよくないと思われたら中止することです。