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Dr.石川の12ヵ月健康チェック vol.31

テレビやラジオでおなじみの石川恭三先生(杏林大学名誉教授・医師)に季節ごとに生じやすい症状について解説していただきます。これを参考に、なるべく未然に防ぎたいですね。

10月のテーマは「お茶の楽しみ方」です。

10月:「お茶の楽しみ方」

お茶が美味しい気候になりました。新茶のころのお茶も美味しいですが、秋風が吹き始めるちょうど今ごろのお茶は格別に美味しく感じられます。気に入った茶碗にお茶をたっぷりとそそぎ、茶碗のぬくもりを手で楽しみながら、ゆっくりとお茶を飲むのは愉悦の極みです。

お茶にはカフェインが多く含まれています。カフェインは大脳皮質に作用して、精神機能を高め、眠気や疲労感を取り去り、思考力を増進させます。さらに感覚を鋭敏にして、運動機能を高める作用もあります。カフェインのこのような興奮作用を適当に利用することで仕事の能率を上げることができます。しかし、カフェインに限らず薬物の興奮作用は一時的なもので、多かれ少なかれ、その後の反動として、精神・身体機能の抑制効果が表れてきます。午前中、仕事のピッチを上げようとして、お茶やコーヒーをがぶ飲みすると、たしかに仕事ははかどりますが、午後になるといつもより疲れが早く出て、仕事のペースがガックリ落ちることを経験している人も多いでしょう。

昔からお年寄りとお茶は付きもので、若い者がお茶好きというと、年寄りじみているといわれます。カフェインには強心作用や利尿作用がありますので、年寄りのお茶好きは理にかなっているともいえます。年をとってくれば、誰でも程度の差こそあれ、頭の回転は鈍くなるし、心臓の働きも弱ってきます。お茶を飲むことで、一時的にしろ、頭がすっきりとして、元気が出てくれば、お茶を手元から離したがらなくなるのも当然です。しかも、番茶よりカフェインを多く含んでいる玉露を好むお年寄りが多いのも、単に味がいいからではなく、“効き目”がいいからなのかもしれません。

しかし、カフェインにはマイナスの面もあります。多量のカフェインは動悸の原因となる期外収縮という不整脈を発生しやすくします。不整脈のある人はお茶やコーヒーは控えめにしておいたほうがいいでしょう。

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