Dr.石川の12ヵ月健康チェック vol.33
テレビやラジオでおなじみの石川恭三先生(杏林大学名誉教授・医師)に季節ごとに生じやすい症状について解説していただきます。これを参考に、なるべく未然に防ぎたいですね。
12月のテーマは「発熱は体の自己防衛」です。
12月:「発熱は体の自己防衛」
長い間、寒いところにいると体がガタガタ震えてきます。これは筋肉をふるわせて熱を生み出して体を温めているのです。また、病気で急に発熱するとき、悪寒、戦慄がきて、体がガタガタふるえることがあります。これも筋肉をふるわせることで、体温を上昇させようとしているからです。
病気のときにみられる発熱は、通常、体液中に放出される異常タンパク質、あるいは多糖類によって起こります。これらは大脳の視床下部にあるサーモスタットに影響を与え、体温のレベルを37度Cより、もっと高い温度に再設定してしまいます。こうなりますと、この再設定されたレベルまで体温を上昇させようとする発熱促進機構が全力で作動することになります。
これらの機構の中には、皮膚の血管収縮、アドレナリンおよびノルアドレナリンの分泌による代謝の亢進、そしてふるえがあります。体温が再設定された高いレベルに到達しますと、これ以上体温を上げる必要がないので、ふるえはとまります。そして、病態が是正されて、サーモスタットのレベルが正常の温度に設定されますと、今度は解熱促進機構が作動しはじめます。これには、皮膚の血管拡張ならびに発汗があります。
感染症にかかったときの発熱は体にとってはたして有利なのかという疑問が出てきます。この点についてはまだあまりよく分かっていませんが、体温の上昇は感染と戦う一つの手段であり、また、感染により損傷を受けた細胞の修復を早くするらしいというのが一般的な見解です。