Dr.石川の12ヵ月健康チェック vol.35
テレビやラジオでおなじみの石川恭三先生(杏林大学名誉教授・医師)に季節ごとに生じやすい症状について解説していただきます。これを参考に、なるべく未然に防ぎたいですね。
2月のテーマは「養生訓」です。
2月:「養生訓」
寒さのどん底にある今、梅の古木にちらほらと花が咲き始めました。まさにこれからは、梅一輪、一輪ほどの暖かさを経て春に近づいていくのでしょう。
岸信介氏の養生訓として、〝転ばぬよう、風邪ひかぬよう、義理を欠け〟があります。医者の私からみても、実に言いえて妙なる言葉だと思います。
高齢者は、ほんのちょっとしたことで転び、骨折します。骨折ともなれば、手術をしたり、ギブス固定をしたりで、何カ月も体を思うように動かせなくなり、ときには寝たきりの状態になります。そうなりますと、筋力が衰え、運動機能が低下し、さらには、認知機能にまでも悪影響を及ぼすことにもなります。〝転ばぬよう〟に本人も気をつけ、家族の人たちも高齢者を転ばせないような気配りをしてほしいと思います。
高齢者は免疫力が落ちていますので、ごく普通の風邪から気管支炎、肺炎へと進展しやすいのです。お年寄りは外出時にはマスクをし、帰ったらすぐに、うがい、手洗いを実行してください。そして、風邪をひいている人には近づかないようにしてください。家族の人もそのような気配りをしてください。
寒い日に義理で通夜や葬式に行ったり、ゴルフコンペに参加したりして、心筋梗塞や脳卒中で命を落とした高齢者は少なくありません。高齢者が義理を欠いても誰も非難する人はいないでしょう。
〝転ばぬよう、風邪ひかぬよう、義理を欠け〟
自分自身に当てはめて考えてはいかがでしょうか。