医療保険制度の基礎知識
医療保険(制度)とは
相互扶助の精神に基づき、病気やけがに備えてあらかじめお金(保険料)を出し合い、実際に医療を受けたときに、医療費の支払いに充てる仕組みです。患者はかかった医療費の原則1~3割を支払えば済み、残りは自分が加入する医療保険から支払われます(保険給付)。日本は全ての国民が公的な医療保険制度への加入を義務づけられています(「国民皆保険制度」)。
医療保険は、サラリーマンが加入する被用者保険(職域保険)、自営業者・サラリーマンOBなどが加入する国民健康保険(地域保険)、75歳以上の人が加入する後期高齢者医療制度に分けられます。
さらに被用者保険は職業によっていくつかの種類があり、主に民間企業のサラリーマンが加入する健康保険組合と全国健康保険協会(協会けんぽ)、公務員が加入する共済組合などに分かれています。
健康保険組合とは
健保組合の設立
企業のサラリーマンが加入する健康保険組合(健保組合)は、健康保険法に基づく公法人です。従業員が700人以上いる企業であれば、国の認可を受けて単独で設立することができます(単一健保組合)。また、同種同業で3000人以上の従業員が集まれば、共同で設立することもできます(総合健保組合)。
健保組合の組織
健保組合の議決機関は事業主と被保険者の双方の代表者である議員で構成される「組合会」です。組合会では、事業の運営方針(事業計画や予算など重要事項)を決定します。これにより組合員の意思が健保組合の運営に反映されることになっています。
この組合会で決定された運営方針に従い、実際に事業を執行する機関が「理事会」です。理事会は、組合会の議員から選出された理事で構成されます。
健保組合の仕事
健保組合は、主に加入者(被保険者とその家族(被扶養者))の病気やけが、出産、死亡などのとき、医療費を負担したり、給付金を支給する「保険給付事業」と、加入者の健康の保持・増進を図る「保健事業」という2つの仕事をしています。
健保組合は、労使の代表が組織運営に参加することによって、自主的かつ効率的に運営されています。このため、加入者の実態に合わせたきめ細かいサービスを提供できます。