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医療保険制度の現状

国民医療費増大のワケ

65歳以上の高齢者が総人口に占める割合は、2025年には30.0%に達すると予想されています。一方、1人の女性が生涯に産む子供の数は、2006年に1.26まで低下し過去最低となりました。2017年には1.43まで上がったものの、日本の少子高齢化は世界に類を見ないスピードで進展しています。

こうした少子高齢社会のもとで、国民医療費(国民が1年間に病気やけがの治療のために医療機関に支払う医療費の総額)は増加の一途をたどっており、2016年度の国民医療費は約42.1兆円となっています。その約6割は65歳以上の医療費が占めており、しかもその割合は年々増えています。

さらに、生活習慣病の増加も国民医療費増加の要因の1つです。一般医療費(国民医療費から歯科医療費や薬代などを除いた分)約30兆円のうち、生活習慣病にかかる医療費は全体の約3分の1を占めています。また、死亡原因を見ても約5割以上を占めています。

医療提供体制の国際比較

日本の医療提供体制は、国民皆保険制度の下に整備が進められ、誰もが容易に医療機関を利用できる状態にあります。国際的にみると、日本は入院患者の平均在院日数が長く、人口当たりの病床数が多いといった特徴があります。

平均在院日数と病床数の各国比較(2016年)
  日本 ドイツ フランス イギリス アメリカ
平均在院日数 28.5日 8.9日 10.1日(15年) 7.1日 6.1日(15年)
人口千人あたり病床数 13.1床 8.1床 6.1床 2.6床 2.8床(07年)

出典:OECD Health Statistics 2017

苦しいんです、健保組合

2008年度の高齢者の医療費を支える仕組みを見直してから、健保組合の財政は急速に悪化しました。その原因として、後期高齢者医療制度への支援金に加え、前期高齢者納付金の拠出による保険料収入の半分近くを占める過重な負担などがあげられます。17年度の健保組合の決算の経常収支では、全体の4割の組合が赤字を計上、赤字総額は約1350億円となりました。

健保組合では、積立金を取り崩したり保険料を引き上げたりしてなんとか運営していますが、すでに限界を超えており、健保組合制度の存続にかかわる深刻な問題となっています。