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健保ニュース 2024年7月下旬号

中医協が診療報酬改定案を答申
医療DX推進へ加算を見直し
マイナ保険証利用率に応じ体制整備加算は3区分に再編

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は17日、「医療DXにかかる診療報酬上の評価の取り扱い」を武見敬三厚生労働相に答申した。現行の「医療DX推進体制整備加算」について、令和6年10月からマイナ保険証利用率実績に応じた3区分の加算に再編。利用率は15%、10%、5%の基準値を設定し、7年1月から30%、20%、10%にそれぞれ引き上げる。利用率が最も低い「加算3」は医科、歯科、調剤とも現行点数を据え置く一方、「加算1」は3点、「加算2」は2点をそれぞれ上乗せする。初診時等の「医療情報取得加算」は、マイナ保険証を利用した場合の点数に6年12月から一本化する。

武見敬三厚生労働相は、17日の中医協総会に、「医療DXにかかる診療報酬上の評価の取り扱い」について諮問し、同日の会合では、厚労省が提示した個別改定項目にもとづき議論した。

このうち、初診時、再診時、調剤時の「医療情報取得加算」は、令和6年12月2日から現行の健康保険証の発行が終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行することを踏まえ、マイナ保険証の利用の有無に着目した加算の点数差を見直し、標準的な問診票やオンライン資格確認等システムからマイナ保険証を通じて取得された医療情報等の活用による質の高い医療の評価へと6年12月1日から改める対応を提案。

また、6年度診療報酬改定で新設した「医療DX推進体制整備加算」は、マイナ保険証の利用実績やマイナポータルの医療情報等にもとづく患者からの健康管理にかかる相談対応に応じ、6年10月1日から加算1・2・3の新たな評価区分を設ける対応案を示した。

マイナ保険証の利用実績は、適用時期の3月前のレセプト件数ベースマイナ保険証利用率を用いることとしたうえで、6年10月から12月と7年1月から3月の2段階の基準値を設定。6年10月から7年1月は適用時期の2月前のオンライン資格確認件数ベースマイナ保険証利用率を用いることも可能とした。

健保連の松本真人理事は、「医療情報取得加算」について、「今年の12月2日以降、マイナ保険証による受診がある意味で当たり前になることを踏まえれば、点数を継続する必要性が乏しいという考え方は今も変わっていない」と発言。仮に、この加算を残すとしても、現行の「3点(現行の保険証を利用した場合)」と「1点(マイナ保険証を利用した場合)」の間を取るようなことはせず、「1点」への一本化を念頭に最低限の点数を設定すべきとの見解を示した。

「医療DX推進体制整備加算」については、「マイナ保険証利用率の現状から、3つの評価区分を設けてメリハリをつけ、利用率の基準値を段階的に引き上げていく対応に異論はない」と言及。各区分のマイナ保険証の利用実績について、「加算1は目標となるような高い基準値を設定し、加算3も最初からすべての医療機関を拾いあげるということではなく、医療機関の努力が促される基準値を設定するべき」との考えを示した。

診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「医療情報取得加算」について、「今回見直しを行うのは、現行保険証の発行が廃止されることに伴うためであり、この加算が標準的な問診票等を用いて情報を取得し、質の高い医療に繋げるという趣旨で設けられていることを考えると、1号側の点数自体を廃止する主張は全く受け入れることはできない」と強調。

「医療DX推進体制整備加算」については、「3段階に構成し、マイナ保険証利用率の目安を徐々に引き上げていく提案に賛成する」と述べる一方、「この時点で先のことは予測しきれないので、ある程度の時期まで設定し、その先については、今後の状況を踏まえて設定していくのが妥当」との認識を示した。

両側の意見を踏まえ、厚労省が、▽医療DX推進体制整備加算にかかる7年4月以降のマイナ保険証利用率の実績要件の設定に当たっては、6年12月2日から現行の健康保険証の発行が終了することを踏まえ、本年末を目途に、マイナ保険証の利用状況、保険医療機関・保険薬局における利用促進に向けた取り組み状況等、実態を十分に勘案したうえで検討、設定▽医療DX推進体制整備加算について、電子処方箋および電子カルテ情報共有サービスの整備状況や運用の実態等を十分に確認したうえで、評価のあり方および必要な対応について検討─することを盛り込んだ答申書附帯意見案を作成。

両側とも附帯意見を承認し、その後、厚労省が「医療DXにかかる診療報酬上の評価の取り扱い」についての答申案を作成した。

「医療情報取得加算」は、▽初診時(現行の保険証の場合3点、マイナ保険証の場合1点)▽再診時(同2点、同1点)▽調剤時(同3点、同1点)─の現行点数をいずれも「1点」に一本化する。

「医療DX推進体制整備加算」は、マイナ保険証利用率について、6年10月から12月は▽加算1は15%▽加算2は10%▽加算3は5%─、7年1月から3月は▽加算1は30%▽加算2は20%▽加算3は10%─を基準値として設定。利用率の基準が低い「加算3」は現行の点数「(医科8点、歯科6点、調剤4点)」を据え置く一方、利用率の基準値が高い「加算1」は「医科11点、歯科9点、調剤7点)」、その間の「加算2」は「同10点、同8点、同6点」の新たな点数を設定することとした。

厚労省は、8月中の告示をめざし、事務的な作業を進めていく意向を示した。

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