健康コラム

賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.78

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。

【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子

がんの手術を拒む母 娘としては手術を受けてほしい

相 談82歳の母は以前から糖尿病を患っていて、近くのかかりつけのクリニックを定期的に受診し、内服薬を処方してもらっています。母は時折、胃の不調を訴えるので、数年前までは年に一度、胃カメラ検査をしてもらっていました。

ところが、2020年のコロナ禍の中で胃カメラ検査が途絶えてしまい、2カ月前、3年ぶりに胃カメラ検査を受けました。すると、早期の胃がんが見つかったのです。

クリニックから胃がんの治療が可能な病院を紹介され、そこで精密検査を受けたのですが、早期ではあるものの、内視鏡では取りきれない部位にがんがあると分かりました。そのため、内視鏡ではなく、胃の全摘手術を勧められたのです。

母は「手術は受けたくない」と言い、父も「たとえ手術がうまくいっても、手術となれば体力も落ちるだろうし、糖尿病もあるから心配だ」と母の考えに同意しています。しかし私(娘)は、母はまだ元気で食欲もあるし、82歳にもかかわらず趣味の卓球も続けているぐらいなので、手術を乗り越えることができると思い、手術を受けてほしいのです。病院の担当医にそのことを話すと、「あくまで患者であるお母さんの意思を尊重しますので、よく話し合ってください」としか言ってくれません。どうしたらいいのでしょうか。

回 答山口育子(COML)

確かに娘さんからみれば、早期で見つかった胃がんで、手術で全摘すれば治る可能性があるならば手術を受けてほしい。82歳とはいえ、元気で体力もある母親ならばなおさら、と考えるのは当然だと思います。いろいろと話を聴いてみると、母親は理解力はあり、医師からいろいろと説明を受けた結果、決めた結論であることが分かりました。常日頃から気丈で、意思表示が明確な方なのだそうです。それだけに、なかなか自分の心配を言い出せていないことが分かりました。そこで、もう一度ご両親に娘さんとしての考えを伝え、再度よく話し合うことをお勧めしました。その上で母親の決心が固ければそれを尊重することも大切です。ただ、気持ちが変わればいつでもそれを表明していいことを口添えされてはどうかとお伝えしました。

認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ

詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/

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〈月・水・金 10:00〜13:00、14:00〜17:00/土 10:00〜13:00〉
ただし、月曜日が祝日の場合は翌火曜日に振り替え

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