健保ニュース
健保ニュース 2024年8月下旬号
森光医政局長が就任会見
2040年へ課題を可視化
厚生労働省の森光敬子医政局長は7月29日に開催された専門誌記者クラブとの就任会見で、医師の偏在対策などをはじめとする地域医療構想等についての考えを語った。
就任に当たっての抱負では、医療と介護の複合ニーズを持つ人の増加や高齢化がピークを迎え生産年齢人口が急減する2040年に向け、「何が課題で、どう解決していくのかという道筋をしっかり見える化していきたい」と発言。
医政局の様々な施策を2040年に向けた医療提供体制のあるべき姿に落とし込んでいく考えを示した。
団塊の世代がすべて後期高齢者となる2025年を目標年に据える地域医療構想については、「ラストスパートとして都道府県と連携し、丁寧に進めていきたい」と言及。
一方、新たな地域医療構想については、2040年に向け、医療提供体制における課題を詳細に分析する必要があると指摘したうえで、「コンパクトな医療提供体制で、医療ニーズが最大となる時期をどのように乗り越えるかをしっかり考えなくてはいけない」と述べた。
コンパクトな医療提供体制については、在宅医療を例に挙げ、「在宅医療を行う医療機関が協働しICTなどを活用することにより、それぞれの患者にあった効率的な医療提供のあり方が考えられる」との認識を示した。
合わせて、「骨太方針2024」で医師偏在に対する「総合的な対策のパッケージ」を策定すると明記されたことを受け、「バランスを重視しつつ、骨太方針で示されたものを柱に、8月の予算概算要求までに骨格を出していく」との意向を表明。「新たな地域医療構想等に関する検討会」で検討を進めていくとした。
医師偏在については、「具体的に何を課題と捉え、どのように対処していくのか考えなくてはいけない」と述べ、医師少数区域と多数区域等のバランスを重視していく姿勢を示した。
かかりつけ医機能が発揮される制度整備については、「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」での取りまとめを踏まえ、「どのような機能を報告してもらうかが明らかになった」と指摘。
制度の施行に向けては、「患者に利用してもらう視点が必要」と強調し、「今後、かかりつけ医機能に関する研修や公報が制度運用の柱になる」との考えを示した。
診療報酬改定については、保険局での職務経験を踏まえ、「まず施策の方向性を示したうえで、診療報酬が設定されていくもの」との認識を示し、医療提供体制と診療報酬との連動について、「1つのまとまった絵になるよう、方向性のフラグを立てることが望ましい」と言及した。