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健保ニュース 2024年9月上旬号

厚労省・7年度予算概算要求
一般会計総額 過去最大の34.3兆円
賃上げ、薬価改定は年末検討

厚生労働省は8月28日、令和7年度予算概算要求を公表した。一般会計総額は前年度比4574億円増の34兆2763億円で、過去最大規模となる。金額を明示しない「事項要求」の診療報酬改定がない年の薬価改定への対応や物価高騰対策、賃上げ促進環境整備対応は年末の予算編成過程で検討するため、最終的な予算額は大きく変動する見通しだ。一般会計総額のうち、医療、年金、介護などの社会保障費は32兆4375億円、裁量的経費にかかる削減額の3倍を要求できる「重要政策推進枠」は1508億円。社会保障費は、高齢化等に伴う自然増として前年度から3677億円を上積みした。

令和7年度厚生労働省予算概算要求は、一般会計総額34兆2763億円のうち、医療、年金、介護などの社会保障費は32兆4375億円で、▽医療12.2兆円▽年金13.4兆円▽介護3.5兆円▽障害等3.4兆円─などが主な内訳となる。

社会保障費は、高齢化等に伴う自然増として、前年度から3677億円(他府省所管予算にかかる増加額400億円を含め4100億円)を上積み。自然増3677億円の内訳は、▽医療1900億円▽障害900億円▽年金700億円▽介護・生活扶助・労働200億円─と見込んだ。

医療費国庫負担12兆1885億円(前年度比1903億円増)の制度別内訳は、協会けんぽが1兆1880億円(同478億円増)、国保が3兆176億円(同802億円減)、後期高齢者医療が6兆1460億円(同2243億円増)の3制度合計10兆3517億円(同1918億円増)のほか、公費負担医療1兆8369億円(同15億円減)を見込んだ。

団塊世代の後期高齢者への移行に伴う被保険者数の増減に伴い、後期高齢者医療は増加する反面、国保は減少した。

医療機関や薬局、社会福祉施設等の物価高騰対策、賃上げ促進環境整備対応等を含めた重要政策や診療報酬改定がない年の薬価改定への対応については、年末の予算編成過程で検討することとした。

被用者保険の財政支援
前年度同の1250億円

令和7年度厚生労働省予算概算要求は、①全世代型社会保障の実現に向けた保健・医療・介護の構築②持続的・構造的な賃上げに向けた三位一体の労働市場改革の推進と多様な人材の活躍促進③一人一人が生きがいや役割を持つ包摂的な社会の実現─の3分野を柱とする。

少子高齢化・人口減少時代にあっても、今後の人口動態や経済社会の変化を見据えた保健・医療・介護の構築や包摂社会を実現するとともに、持続的・構造的な賃上げに向けた三位一体の労働市場改革の推進と多様な人材の活躍促進を通じて国民一人ひとりが安心して生涯活躍できる社会の実現をめざす。

このうち、①は、▽マイナ保険証の利用促進に向けた取り組み(事項要求)▽電子処方箋のさらなる全国的な普及拡大▽診療報酬改定DXの取り組みの推進─など、「医療・介護におけるDXの推進等」に358億円を計上した。

「安定的で持続可能な医療保険制度の運営確保」では、被用者保険への財政支援に前年度と同額の1250億円を計上。内訳は、▽高齢者医療特別負担調整交付金(200億円)▽高齢者医療運営円滑化等補助金(950.4億円)▽健康保険組合連合会交付金交付事業費負担金(100億円)─となる。

6年10月からの短時間労働者の適用拡大に伴う影響で財政が逼迫するおそれのある健保組合への財政支援(6年度予算2.5億円)について、「重要政策推進枠」を活用し、影響の満年度化等を踏まえ11億円に増額する。

さらに、出産・子育ての安心につながる環境整備等の取り組みに対する財政支援として、2000万円を新たに計上。

全世代対応型社会保障制度構築法、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律を踏まえた医療保険制度の改正等に合わせ、出産・子育ての安心につながる環境整備のために、子どもにとってよりよい医療の在り方の実現や出産費用の見える化により公表される情報の活用を図るための取り組み(保健事業等)等を行う健保組合や健保連に財政支援を行う。

このほか、消費税率の引き上げ(5%→10%)を主要財源とする社会保障の充実は、税収額や重点化・効率化の動向を踏まえ、年末の予算編成過程で検討することとした。

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