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健保ニュース 2024年9月上旬号

新たな地域医療構想検討会
外来含む提供体制全体の課題を解決

「新たな地域医療構想等に関する検討会」 (座長・遠藤久夫学習院大学長)は8月26日、85歳以上の高齢者が増加し人口減少がさらに進む2040年頃を見据えた「めざすべき医療」について議論し、入院だけでなく外来・在宅、介護との連携を含む医療提供体制全体の課題解決を図るための地域医療構想を策定する方向性を了承した。

厚生労働省は、2040年頃の医療需要について、▽医療・介護の複合ニーズを有する85歳以上の高齢者が増加し、85歳以上の救急搬送は75%増加、在宅医療需要は62%増加▽在宅医療の提供医療機関のうち、病院数は増加傾向の一方、診療所数はヨコバイ▽入院医療は、病床利用率が低下傾向で、医療機関の医業利益率は低下▽手術件数が全診療領域で半数以上の構想区域で減少▽外来医療の需要はすでに減少傾向にある医療圏が多い─との見通しを示した。

医療従事者確保のため働き方改革を進めるほか、都市部は、増加する高齢者救急や在宅医療の受け皿の整備、過疎地域は、人口・患者の減少に対応した医療提供体制の維持を課題とした。

これを踏まえ、新たな地域医療構想は、2040年以降もすべての地域ですべての患者が適切な医療を受けられる体制を構築できるよう、①地域の患者・要介護者を支えられる地域全体を俯瞰した構想②今後の連携・再編・集約化をイメージできる医療機関機能に着目した医療提供体制の構築③限られたマンパワーにおけるより効率的な医療提供の実現─をめざす。

健保連の河本滋史専務理事は、提示された方向性に異論はないとしつつ、「医療需要が大きく変化し、地域差も拡大するなか、医療介護人材の不足や保険診療を支える財政基盤にも限界がある」と指摘。医療機関のさらなる機能分化・強化と連携の推進により、最適な医療が過不足なく効率的に提供されることが不可欠と主張した。

すでに減少局面にあり、全国的にも2025年以降にピークアウトする外来医療の状況に対し、「診療所医師の地域偏在や診療科偏在を是正しながら、人口の少ない地域でのプライマリーケアを維持する必要がある」と指摘。来年度から開始されるかかりつけ医機能報告を活用するとともに、他の施策と組み合わせて地域医療構想のなかで過不足のない外来医療の提供体制を確保することが重要との考えを示した。

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