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健保ニュース 2024年9月下旬号

医師偏在是正の経済的インセンティブ
河本専務理事 保険料の活用に反対

社会保障審議会医療部会(遠藤久夫部会長)は5日、医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージの骨子案などについて、委員から意見を聴取した。

この日の会合では、厚生労働省が、▽新たな地域医療構想の検討状況▽医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージの骨子案▽「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」の報告書─について報告。

「医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージ」の骨子案については、同日に初会合を開催した「医師偏在対策推進本部」で、厚労省が①医師確保計画の実効性②医師の確保・養成③実効的な医師配置④実施に向けて─を主な論点として提示した。

このうち、④では、①~③の取り組みを推進していくうえで、▽経済的インセンティブとして、どのような対応が必要か▽インセンティブによる偏在是正を進めるにあたっては、国や地方のほか、保険者等からの協力を得るなど、あらゆる方策を検討すべきではないか▽①~③の取り組みを国、地方、医療関係者、保険者等がどのように協力して実施していくべきか─について、委員から意見を聴取した。

健保連の河本滋史専務理事は、「医師偏在の是正は大変重要なテーマだ」と言及し、外来医師多数区域の新規参入抑制と医師少数区域の医師確保をセットで行うべきとの考えを示した。

そのうえで、「医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージ」の骨子案の論点について、「やや唐突に示されたため、今後丁寧に議論していく必要がある」と指摘。

特に、④の医師偏在是正に向けた経済的インセンティブの必要性に理解を示す一方、「保険者等からの協力を得る」と明記されたことに対し、「保険料を保険給付以外の目的で使用することは、保険料を負担する被保険者および事業主に対して説明がつかず、現時点で当然賛成できるものではない」と反対の意を示した。

井上隆委員(日本経済団体連合会専務理事)は、「経済的インセンティブに保険者等からの協力を得るとあるが、事業主サイドとしても違和感がある」と発言。

国民の健康維持は国の役割との認識を示し、医師偏在是正に向けた保険料の活用については慎重な対応が求められると訴えた。

佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)は、「経済的インセンティブの効果は不明で、医療提供体制の確保を患者、被保険者に求めることはおかしい」と強調。

そのうえで、「給付と負担の関係性にもとづく社会保険の原則から、到底納得できない」と断じ、厚労省に規制的手法での対応を求めた。

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