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健保ニュース 2024年10月上旬号

健保連・第531回理事会
持続可能な制度へ改革を訴求
宮永会長 山積課題に総力挙げ対応

健保連は9月20日、第531回理事会を開いた。冒頭あいさつした宮永俊一会長は、現在集計している健保組合の令和5年度決算見込によると、賃上げによる保険料収入の増加を上回る保険給付費と高齢者医療への拠出金の伸びにより、組合財政が依然として厳しい状況にあることは間違いないと指摘。高齢者医療費の急増に伴い、6年度以降、さらなる財政悪化が予想されるなか、保険料率の引き上げも限界に達し、このままでは健保組合の存続も危ぶまれる事態になりかねないと危惧した。こうした状況を受け、10月24日の全国大会では、「皆保険制度の支え手である現役世代の負担を軽減し、全世代が納得して負担し合える持続可能な制度に向けた改革の断行を訴えたい」との想いを込めたと強調。理事、都道府県連合会の皆さんと本部事務局が団結し、総力を挙げて問題に取り組んでいく決意を表明した。(宮永会長の発言要旨は次のとおり。)




理事会の開会にあたり、一言あいさつ申し上げる。
 早くも9月の下旬となったが、全国的には、まだまだ厳しい暑さが続いている。
 今年は例年を上回る猛暑日が記録されるとともに、変則的な台風の上陸や、南海トラフ地震臨時情報が初めて出されるなど、日ごろの防災・減災の大切さを感じる夏だったように思う。

さて、世界情勢は未だ混沌とした情勢が続いているが、わが国を含めて、多くの国が11月のアメリカ大統領選挙の行方を注視しているようだ。

一方、国内の政治の動きをみると、来週9月27日に次の自民党の総裁が決まり、立憲民主党は23日、公明党は28日に、それぞれ代表が決まる予定だ。

各党とも、国政に与る責任政党として、日本の持続的な成長と国際的なプレゼンスの向上をめざし、国益の確保と国民生活の安心・安定を実現できる総裁、代表を選出してもらいたいと思う。

10月に入ると、首班指名、新内閣の発足を経て、来年度予算に向けた動きが本格化していく。

その後に想定されている、衆議院の解散・総選挙の動向にもよるが、どのような政権となっても、国会の先生方には、われわれ現役世代の負担にしっかりと向き合い、持続可能な制度を構築するための必要な政策を確実に前に進めていただきたい、と強く期待するところだ。

さて、われわれの状況だが、現在、令和5年度の健保組合の決算見込を集計しており、後程の情勢報告のなかで触れる予定だが、賃上げにより保険料収入は増加しているものの、それを上回る保険給付費と高齢者医療への拠出金の伸びにより、健保組合の財政が依然として厳しい状況であることは間違いない。

さらに、来年、2025年は、団塊の世代がすべて後期高齢者となる節目の年であり、これに伴い、高齢者医療費の急増が見込まれている。

令和6年度以降、さらなる財政悪化が予想されるなかで、保険料率の引き上げも限界に達しており、このままでは、健保組合の存続も危ぶまれる事態になりかねないと大変、危惧している。

こうした状況を踏まえて、来月24日に迫った健保組合全国大会は、「現役世代を守るための改革断行を!2025年を乗り越え、未来につながる皆保険制度に」をテーマに開催することとしている。

安倍内閣から岸田内閣にいたるまで、「全ての世代で負担能力に応じて支え合う」という「全世代型社会保障制度」への改革が進められてきた。

しかしながら、生産年齢人口が減少するなかで、現役世代の負担を軽減するためには、十分な内容とはまだ言えない。

国民の安心の礎である皆保険制度は世界に類を見ない素晴らしい制度であり、将来世代に確実に引き継いでいかなければならない。

そのためにも制度の支え手である現役世代の負担を軽減し、全世代が納得して負担し合える、持続可能な制度に向けた改革の断行を訴えたい、との想いを込めている。

また、喫緊の課題である少子化対策とその財源問題、医療DXの推進とマイナ保険証にかかわる問題など、われわれが懸念する諸課題についても、組合実務の現場の皆さんの納得感が得られるように取り組み、主張していきたいと思う。

本日は、この全国大会の構成を中心に審議いただく。
 全国大会は、われわれの主張や考え方を内外に示す大変重要な場であり、健保組合の団結力を示し、思いの強さをアピールする絶好の機会でもあるのでぜひ活発な議論をお願いする。

冒頭に、今年は「暑い夏」と申し上げたが、スポーツの分野でも非常に違う意味で「熱い夏」だったように思う。

大リーグの大谷翔平選手の活躍はもちろんのこと、パリオリンピック・パラリンピックでも胸を打つような熱い戦いが繰り広げられた。

こうした若い世代や、障がいのある方々の活躍を拝見し、将来にわたり、皆さんが安心して暮らせる日本にしていきたい、そのためには、国民の健康を支える皆保険制度という温かい仕組みを持続可能な形で残していかなければならない、との思いを強くしたところだ。

最後になるが、理事の皆さん、都道府県連合会の皆さん、そして本部事務局が団結し、総力を挙げて問題に取り組んでいくことが非常に大事だと思う。

私も、微力ではあるが、先頭に立って邁進していくので、まずは今年度の全国大会の成功に向けて、皆さんのご支援・ご協力をお願い申し上げ、開会のあいさつとする。

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