健保ニュース
健保ニュース 2024年10月上旬号
令和5年受療行動調査
病院外来 「最初から受診」は減少傾向
定額負担の徴収等が影響
厚生労働省は9月20日、3年ごとに実施する「受療行動調査」の令和5年概数集計結果を公表した。それによると、外来患者の受診場所について、「最初から今日来院した病院を受診」した割合は、外来患者全体の51.4%を占め、前回の2年調査に比べ1.9ポイント減少した。
これを病院種別でみると、特定機能病院で最初に外来を受診した患者の割合は25.4%(前回調査比4.5ポイント減)、500床以上の大病院では35.7%(同3.3ポイント減)、100~499床の中病院では53.1%(同2.9ポイント減)、99床以下の小病院では66.0%(同0.1ポイント減)、療養病床を有する病院では62.8%(同0.3ポイント減)と、すべての病院で低下した。
こうした傾向について、厚労省は、診療報酬改定の影響によるものと説明。
特に、平成28年度以降、一定規模以上の病院に紹介状なしで外来受診した場合、患者から特別の定額負担(初診5000円、再診2500円)を徴収するとされたこと等の影響が大きいと分析した。
特定機能病院と地域医療支援病院のほか、令和4年10月1日からは一般病床200床以上の紹介受診重点医療機関を定額負担徴収の対象施設に追加するとともに、定額負担の額(初診7000円、再診3000円)を見直した。
地域医療支援病院については、平成28年度に一般病床500床以上、30年度に許可病床400床以上、令和2年度に一般病床200床以上へと段階的に対象を拡大してきた。
今回の調査で、「最初は診療所・クリニック・医院を受診」した外来患者の割合は全体の18.8%で同0.8ポイント増。「最初は他の病院を受診」した外来患者は全体の27.6%で同0.9ポイント増加する結果となった。
診療等までの待ち時間をみると、「15分未満」が27.9%と最も多く、「15~30分未満」が24.9%、「30分~1時間未満」が20.6%で、約7割が1時間未満だった。
診察時間は「5~10分未満」が40.9%と最も多く、次いで「5分未満」が28.5%、「10~20分未満」が14.8%となっている。
外来患者のうち、初診時に自覚症状が「あった」と回答した者の割合は66.1%、「なかった」と回答した者の割合は28.4%で、自覚症状がなかった患者が受診したきっかけは、「健康診断(人間ドックを含む)で指摘された」が45.9%、「他の医療機関等で受診を勧められた」が24.8%だった。
他方、入院患者の今後の治療・療養の希望をみると、「完治するまでこの病院で入院」が40.8%で最も多く、「自宅から通院」が35.1%、「介護を受けられる施設で治療・療養」が5.7%。
年次推移をみると、「完治するまでこの病院で入院」は、▽平成29年が48.1%▽令和2年が45.6%▽令和5年が40.8%─と低下傾向を示す一方、「自宅から通院」は、▽同28.8%▽同30.0%▽同35.1%─で上昇傾向となっている。
退院許可が出た場合、自宅で「療養できる」割合は63.1%、「療養できない」割合は19.4%だった。
「療養できない」と回答した者について、自宅療養を可能にする条件をみると、「入浴や食事などの介護が受けられるサービス」が40.6%、「家族の協力」が35.2%、「療養に必要な用具(車椅子、ベッド)」が28.7%となっている。
病院に対する満足度は、「満足」が外来で63.7%、入院で67.3%、「不満」は外来で4.4%、入院で5.3%を占めた。