健保ニュース
健保ニュース 2024年10月下旬号
厚労省が4年度国民医療費を公表
前年度比3.7%増 46.7兆円で過去最大を更新
1人当たりは37.4万円に上昇
厚生労働省は11日、「令和4年度国民医療費」を公表した。4年度国民医療費は前年度比3.7%増の46兆6967億円で、3年度から1兆6608億円増加。新型コロナウイルス感染症に伴う患者の受診控えで同3.2%減少した2年度の反動や、コロナ患者数が増加した影響により過去最大を更新した。人口1人当たりの国民医療費も過去最大を更新し、同4.2%、1万4900円増の37万3700円に上昇。被用者保険の給付分は同5.8%増の11兆7995億円で、健保組合の給付分は同6.0%増の4兆680億円に増加した。
健保組合の給付分
前年度比6.0%増
国民医療費は、当該年度内の医療機関等における保険診療の対象となる疾病の治療費を推計したもので、評価療養、選定療養、正常分娩、健康診断、予防接種等に要した費用は含まれない。
令和4年度の国民医療費は46兆6967億円で、前年度に比べ3.7%、1兆6608億円増えた。
人口1人当たりの国民医療費は同4.2%、1万4900円増の37万3700円に増加。
国民医療費の国内総生産(GDP)に対する比率は、同0.11ポイント増の8.24%に上昇した。
制度区分別の国民医療費は、被用者保険の給付分が同5.8%増の11兆7995億円(全体の25.3%)、国民健康保険の給付分が同1.2%減の8兆9965億円(同19.3%)で、被用者保険は6%近く伸びる一方、国保は減少した。
被用者保険の給付分のうち、被保険者は同6.1%増の6兆5907億円、被扶養者は同6.2%増の4兆3917億円、高齢者(70歳以上)は同1.7%増の8170億円。
健保組合の給付分は同6.0%増の4兆680億円、協会けんぽは同3.6%増の6兆3763億円、船員保険は同1.1%減の186億円、共済組合等は同17.4%増の1兆3364億円だった。
後期高齢者医療給付分は同4.6%増の16兆4544億円、患者等負担分が同4.2%増の5兆6524億円となる。
国民医療費の財源
保険料が半分占める
国民医療費の財源は、保険料が前年度比3.8%増の23兆3506億円(構成割合50.0%)で全体の半分を占める。保険料のうち被保険者負担分は同3.6%増の13兆2189億円(同28.3%)、事業主負担分が同4.0%増の10兆1316億円(同21.7%)。公費は同3.4%増の17兆6837億円(同37.9%)で、このうち国庫負担分が同3.4%増の11兆7912億円(同25.3%)、地方負担分が同3.4%増の5兆8925億円(同12.6%)となっている。患者負担分と健康被害補償の原因者負担分は同4.1%増の5兆6625億円(同12.1%)だった。
診療種類別でみると、医科診療医療費は同4.4%増の33兆8255億円で、全体の72.4%を占める。このうち、入院が同3.0%増の17兆3524億円(構成割合37.2%)、入院外が同6.0%増の16兆4731億円(同35.3%)。歯科診療医療費は同2.5%増の3兆2275億円(同6.9%)、薬局調剤医療費は同1.4%増の7兆9903億円(同17.1%)となっている。
年齢階層別に国民医療費をみると、0~14歳は2兆6359億円(構成割合5.6%)、15~44歳は5兆7317億円(同12.3%)、45~64歳は10兆2140億円(同21.9%)、65歳以上は28兆1151億円(同60.2%)となっており、65歳以上の医療費が6割超を占めている。人口1人当たりでは、65歳未満が20万9500円、65歳以上が77万5900円、75歳以上は94万900円となっている。
男性の人口1人当たり国民医療費は65歳未満が20万6200円、65歳以上が84万9600円。女性は65歳未満が21万2800円、65歳以上が71万9400円で、65歳以上は男性を大きく下回る。
医科診療医療費の傷病
循環器系の疾患が最多
医科診療医療費を傷病分類別にみると、「循環器系の疾患」が同1.0%増の6兆1731億円(構成割合18.2%)と最も多く、次いで、「新生物(腫瘍)」が同2.6%増の4兆9692億円(構成割合14.7%)、「筋骨格系および結合組織の疾患」が同2.4%増の2兆6708億円(同7.9%)、「損傷・中毒およびその他の外因の影響」が同2.9%増の2兆5651億円(同7.6%)、「腎尿路生殖器系の疾患」が同3.9%増の2兆4056億円(同7.1%)と続く。65歳未満では「新生物(腫瘍)」が最も多く、65歳以上では「循環器系の疾患」が最も多かった。
都道府県別の国民医療費は、最高が東京(4兆8224億円)で、大阪(3兆6082億円)、神奈川(3兆1244億円)と続く。一方、最低は鳥取(2082億円)で、島根(2718億円)、福井(2803億円)の順だった。
人口1人当たりでは、最高が高知(47万8900円)で、鹿児島(45万6500円)、徳島(44万8400円)と続く。一方、最低は埼玉(33万2000円)で、千葉(33万4100円)、神奈川(33万8400円)の順だった。