健保ニュース
健保ニュース 2025年5月下旬号
自民・国民医療を守る議員の会
医療経営 補助金と診療報酬両面で対応
骨太方針反映へ決議採択
「国民医療を守る議員の会」(会長・加藤勝信財務相)は14日、国会内で総会を開き、医療機関の経営が厳しい状況にあるとの認識の下、補助金と診療報酬の両面から対応を求める決議を採択した。「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に向けて、近く首相官邸に申し入れる。
同議連顧問の田村憲久元厚生労働相は開会のあいさつで、医療機関が厳しい経営環境にあるとの認識を示し、骨太の方針に加え、補正予算での緊急的な対応が必要だと訴えた。
また、一部の健保組合は厳しい財政状況にあるとしながらも、医療機関がなくなっては加入者が路頭に迷うことになるとして、「保険者にも一定程度理解してもらえるだろう。(医療機関と保険者を)分断して議論すべきではない」と指摘した。その上で、「社会を維持し、経済を成長させていくために、安心して働けるように何としても医療を守らなければならない」と述べた。
続いて、同議連最高顧問の岸田文雄前首相があいさつし、「公的価格である医療分野で、物価高に負けない賃上げを実現するのは当然のことだ」として、「次期診療報酬改定においても、経済成長の果実を医療分野に還元しなければならない。そのための取り組みを、ともに協力して進めたい」と述べた。
この日の総会では、日本医師会の松本吉郎会長が医療機関の経営状況や賃上げの状況を明らかにした上で、骨太の方針の策定に向け、補助金と診療報酬両面からの対応や経済成長による消費税収増の社会保障への活用を要望した。
これを踏まえ、決議は骨太の方針に向けて、▽経済成長の果実の活用▽「高齢化の伸びの範囲内に抑制する」という社会保障予算の目安対応の見直し▽診療報酬等について、賃金・物価の上昇に応じた公定価格への適切な反映▽小児医療・周産期医療体制の強力な方策の検討──を対応の柱に挙げた。
医療機関の経営状況に鑑みて、補助金での早期対応と、診療報酬による安定的な財源確保が必要だと訴えるとともに、期中改定の必要性にも言及し、4つの柱について政府の対応を求める。出席した137人の国会議員全員から賛同を得て採択された。
総会後、同議連事務局総長の古川俊治氏は記者団の取材に応じ、決議について「首相官邸に持ち込む」と述べた。
また、医師会が主張する期中改定については理解を示しつつも、「毎年改定の議論につながる」として慎重な姿勢を見せた。