健保ニュース
健保ニュース 2026年2月上旬号
厚労省 個別改定項目の具体案提示
急性期病院 一般入院基本料を新設
救急搬送、手術実績に着目
厚生労働省は1月23日の中央社会保険医療協議会(会長・小塩隆士一橋大経済研究所特任教授)の総会で、令和8年度診療報酬改定に向けた個別改定項目の具体案、いわゆる「短冊」を示した。
急性期入院医療については、救急搬送の受け入れや手術の実績など病院の機能に着目した「急性期病院一般入院基本料」を新設することが盛り込まれた。
急性期病院一般入院基本料は、急性期病院A一般入院料、急性期病院B一般入院料で構成し、急性期Aは地域における拠点的な急性期病院、急性期Bは一般的な地域の急性期病院の役割が想定されている。
急性期Aの看護配置は7対1、急性期Bが10対1。平均在院日数は急性期Aが16日以内、急性期Bが21日以内。
急性期Aは、救急医療体制として、▽2次救急医療体制、救命救急センター、高度救命救急センター、総合周産期母子医療センターを設置している▽地域包括医療病棟または地域包括ケア病棟入院料(地域包括ケア入院医療管理料を含む)を届け出ていない▽画像診断、検査を24時間実施できる体制を確保している──などを満たす医療機関とする。
急性期Aの救急医療としての実績要件は、救急用自動車または救急医療用ヘリコプターによる搬送件数が年2000件以上、かつ全身麻酔手術件数が年1200件以上とする。
その際、介護保険施設に入所中の患者は、在宅療養支援診療所・病院など介護保険施設の協力医療機関で受け入れ困難や受け入れ後3日以内に協力医療機関に転院などしたケースを除いて、救急搬送件数に参入しないこととする。30日の中医協総会では、この取り扱いを急性期B病院にも適用することとした。
急性期Bの救急医療体制は、▽医療計画に記載されている第2次救急医療機関▽地域包括医療病棟を届け出ていない医療機関──などとする。
急性期Bの救急医療の実績要件は、▽救急用自動車または救急医療用ヘリコプターによる搬送件数が年1500件以上▽同500件以上、かつ全身麻酔手術件数が年500件以上▽人口20万人未満の地域に所在する医療機関であって、所属する2次医療圏の医療機関のうち、救急用自動車または救急医療用ヘリコプターによる搬送件数が最大で、かつ年1000件以上──などのいずれかを満たすこととする。
健保連の松本真人理事は、「入院は病院機能を重視し、救急搬送や全身麻酔手術の実績を指標として、急性期の評価体系をきめ細かく見直すことや、急性期と包括期のケアミックスに着目した評価により、病院の再編・統合や機能強化が期待できる。この方向で是非進めてほしい」と述べた。
急性期総合体制加算を新設
充実と総合加算を統合
短冊では、現行の急性期充実体制加算と総合入院体制加算を統合し、様々な診療科を有する総合性と、手術件数が多いなどの集積性を持つ拠点的な病院を評価する「急性期総合体制加算」を新設することが示された。
同加算は1~5の5区分を設け、加算1~4は急性期A病院に限り取得可能とし、加算5は急性期A・B病院で取得可能とする。
また、加算1~4は、地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟入院料、地域包括ケア入院医療管理料、療養病棟入院基本料を届け出ていない医療機関を対象とし、ケアミックスに制限を設ける。
加算5は、人口20万人未満の地域で救急搬送を多く受け入れている医療機関では、この基準を適用しないこととする。
看護・多職種加算を新設
「7対1相当」が可能
現行の急性期一般入院料4と新設する急性期病院B一般入院料のうち、急性期一般入院料1と同等の重症度、医療・看護必要度などを満たす病棟では、当該病棟の看護配置基準を超えて看護職員、理学療法士、作業療法士などを配置し、各職種が協働する場合に算定できる「看護・多職種協働加算」を新設する。
多職種の配置基準は25対1とし、看護配置10対1の入院料4と急性期Bが、看護・多職種協働加算の基準に沿って多職種を組み合わせると、合計で「7対1相当」が可能となる。これにより7対1が3通りとなる。
地域包括医療病棟
入院料を2本立て
中等症の高齢者救急に対応する地域包括医療病棟は、手術や緊急入院の有無に応じて入院料を分けるとともに、急性期病棟の併設状況に応じた評価を導入する。併設がない場合の診療をさらに評価するとした。
現行は単一の評価体系となっている地域包括医療病棟入院料を1と2の2本立てとし、それぞれに入院料1~3の3区分を設ける。
地域包括医療病棟入院料1は、急性期一般入院料1~6や急性期病院一般入院基本料など一般病棟入院基本料を算定する病棟を有していない(急性期病棟を併設していない)こととし、地域包括医療病棟入院料2は急性期病棟との併設を認める。
その上で、入院料1~3は患者の状態に応じて評価する。
具体的に▽入院料1は、緊急入院の患者で、入院時の主傷病に対して入院中に手術しない▽入院料2は、緊急入院の患者で、入院時の主傷病に対して入院中に手術する、および予定入院の患者で入院中に手術しない▽入院料3は、予定入院の患者で入院時の主傷病に対して手術する──を算定要件とする。
特定機能病院入院料を3区分
特定機能病院については、高度医療を提供する拠点機能や、地域医療における役割を積極的に果たす機能を評価する観点から、現行1本の特定機能病院入院基本料を、新たに特定機能病院A入院基本料、B入院基本料、C入院基本料に3区分する。
特定機能病院入院基本料の中に設けられている現行の一般病棟(7対1、10対1)、結核病棟(7対1~15対1)、精神病棟(7対1~15対1)の評価は、新設の特定機能病院A~C入院基本料に組み込む。
厚生労働省は、特定機能病院の承認要件の見直しに伴い、特定機能病院を▽大学病院本院▽ナショナルセンター等▽その他──の3類型にすることを踏まえ、特定機能病院入院基本料も細分化する方向を示していた。3類型に沿った入院基本料A~Cが設定されると考えられる。
特定集中治療室管理料
救急搬送、手術実績を要件
特定集中治療室管理料については、重症の救急搬送や全身麻酔手術後の患者に対し、密度の高い医学管理を行うことを、特定集中治療室(ICU)を有する病院が担う役割と位置づけ、新たに救急搬送件数と全身麻酔手術件数の実績要件を設ける。
また、広範囲熱傷特定集中治療管理料の有無で区分されている現行の同管理料1~6の評価体系を簡素化し、1~3に3区分する。
実績要件は▽救急用自動車または救急医療用ヘリコプターによる搬送件数が年1000件以上▽全身麻酔手術件数が年1000件以上──などのいずれかを満たすこととする。
ハイケアユニット入院医療管理料も新たに救急搬送件数と全身麻酔手術件数の実績要件を設ける。
実績要件は▽救急用自動車または救急医療用ヘリコプターによる搬送件数が年1000件以上▽全身麻酔手術件数が年500件以上──などのいずかを満たすこととする。
ICT活用で看護配置柔軟化
所定の入院料を算定可
また、ICT機器などの活用による看護業務の効率化や負担軽減を推進する観点から、ICT機器などを組織的に活用した場合、入院基本料などに規定する看護要員の配置基準を柔軟化する。
具体的にICT、AI、IoTの機器を見守りや看護記録の作成、医療従事者間の情報共有などに活用して看護業務を軽減した上で、適切に看護できる体制がある場合、看護職員に対する看護師の比率について、「1割以内の減少」であれば、入院基本料などの基準を満たすものと扱い、所定の点数を算定できるようにする。
対象となる入院料は、▽急性期一般入院料1~6▽急性期病院A・B一般入院料▽地域包括医療病棟入院料1・2──など。