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健保ニュース 2026年4月上旬号

後期支援金の加減算制度
加算基準 実施率の絶対値のみに
厚労省検討会 4期後半の見直しを了承

厚生労働省の「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」(座長・津下一代女子栄養大教授)は3月25日、後期高齢者支援金加算・減算制度の第4期(2024~29年度)後半の27年度以降の見直し案を了承した。加算対象となる実施率の基準について、特定健診・保健指導の過去の実績を踏まえて毎年度設定される現行の方式を改め、特定健診・保健指導の実施率の絶対値のみを用いることとした。

厚労省は第4期後半の加減算の基準見直しを26年度の早期に関係者に通知する予定。

現行の加算基準は、保険者種別ごとの4年度前の実施率の「平均値-標準偏差」の値を用いている。経年的に実施率が上昇する傾向とあわせ、全体の実施率の伸びに連動した実態に沿った基準値を設定することで、実施率を底上げする狙いがあるが、「ゴールポスト(加算基準)が変動する」(厚労省)ことに保険者から見直しを求める声があったという。

このため、基準を明確にしてわかりやすくする観点から、27年度以降は実施率の絶対値を基準に加算する。

後期支援金の加減算制度は、保険者(健保組合、共済組合、全国土木建築国保組合)の特定健診・保健指導実施率などを基に、当該保険者の支援金額に対し一定率を加算、減算する仕組み。減算は実施率に加え、広く保健事業の実施など複数の指標で総合的に評価する。加算額の規模に合わせて減算率を定める。

27年度以降の加算基準は、特定健診は実施率70%未満、保健指導は単一健保と共済組合が実施率20%未満、総合健保・私学共済・全国土木(以下、総合健保等)が実施率5%未満とし、特定健診は全保険者共通の指標、特定保健指導はグループを2つに分けて、それぞれ実施率に応じて段階的に設定する。

特定健診の加算基準は、▽実施率50%未満の保険者には最大の10%を加算▽実施率50%以上~60%未満=加算率5%▽同60%以上~70%未満=同1%──とする。

特定保健指導の加算基準は、単一健保と共済組合では▽実施率2.5%未満、2.5%以上~5%未満=加算率10%▽同5%以上~7.5%未満、7.5%以上~10%未満=同5%▽同10%以上~15%未満、15%以上~20%未満=同1%──と設定。

総合健保等の特定保健指導の加算基準は、▽実施率2.5%未満=加算率10%▽2.5%以上~5%未満=同1%──。

特定健診と保健指導のいずれも実施率が「著しく低い保険者」に対し10%を加算する。

加算除外要件を一部見直し

一方、加算基準に該当しても、災害などが発生して特定健診・保健指導が実施できなかった場合などは、加算を免れる加算除外要件が適用される仕組みがある。

加算除外に該当する要件は4つあり、このうち4つ目の要件4については、保険者の取り組み状況に関するもので、現在は総合評価項目の大項目において重点項目を1つ以上達成(得点)していることとしている。

27年度以降は要件4の内容を改め、▽特定健診・保健指導の全対象者へ個別通知している▽前年度の実施率を上回っている──のいずれも満たす場合に加算除外とする。

27年度以降の特定健診の加算基準では、実施率60%以上~70%未満の保険者に1%加算されることとなるが、これに対して、総合健保等のみに加算除外の新たな要件4を適用する。

例えば、総合健保等が個別通知を実施し、実施率が前年度の60%から61%に上昇した場合、1%加算が免れる。10%、5%の加算率に該当する保険者には要件4を適用しない。

単一健保、共済組合を対象とする特定保健指導の加算基準では、加算率5%と1%に該当する保険者に要件4を適用する。総合健保等の加算基準では、加算率1%に要件4を適用する。

要件4は、第4期後半に適用する特例的な取り扱いとする方向で、30年度からの第5期以降は廃止する予定。災害などを理由とする加算除外要件1~3は引き続き適用する。

27年度以降の減算基準は、総合評価指標の合計点数上位20%に該当し、かつ総合評価指標の必須項目(2つ)を全て満たすことを要件とする。

必須項目を全て満たすとする要件は現行と変わらないが、現在の必須項目は、▽特定健診・保健指導実施率(実施率が基準値以上)▽PHRの体制整備▽コラボヘルスの体制整備▽後発医薬品の使用割合(使用割合が基準値以上)──の4つ。

27年度以降は、総合評価指標の大項目1①に「健康課題に対応した保健事業の実施」を新設し、新たな必須項目とする。これと、現行の大項目2①の「特定健診・保健指導実施率」(実施率が基準値以上)と合わせて必須項目を2つに改編する。

また、大項目7「加入者に向けた予防・健康づくりの働きかけ」のうち、達成状況の確認方法を保険者の申告により評価している項目(①、⑦~⑫)の点数を大幅に引き上げて重点的に評価する。これに伴い総合評価指標の重点項目の設定を廃止する。

同検討会の構成員である健保連の秋山実理事は、「単一、総合組合のそれぞれの実態に合った加算基準を設けるとともに、加算除外要件の対象範囲も配慮した点で健保組合に寄り添った内容だ」と評価した。

その上で、第5期に向けては、加減算制度の廃止も視野に入れ、保険者インセンティブ制度のあり方を再考すべきと主張した。

また、加減算制度や他制度におけるインセンティブの仕組みが、特定健診・保健指導の実施率向上にどのような役割を果たしているのか効果検証が必要だとした。減算にかかる金銭的インセンティブでは、国庫補助金の活用を検討するよう求めた。

健保組合などの保健事業
部門別表彰・認定制度を創設

また、同検討会はこの日の会合で、後期支援金加減算制度に関連し、優れた保健事業を実施している健保組合などの功績をたたえる表彰・認定制度を拡充することを了承した。

26年度から部門別に表彰・認定制度を設けることとし、「特定健診・保健指導の実施」(大項目2①~③)、「要医療の者への受診勧奨、糖尿病等の重症化予防」(大項目3①~⑤)のそれぞれについて、合計点数の上位10保険者を対象とする。

現在、25年10月に制定された厚労相による「予防・健康づくり推進優良組合」認定・表彰制度があり、同年10月の日本健康会議で認定制度創設の公表と、上位保険者の表彰を初めて実施した。

認定の対象は、予防・健康づくりに関する総合評価指標の合計点数の上位100保険者を選定。25年度の認定は、23年度後期支援金の加減算データに基づき、点数の関係上、101保険者が選ばれた。このうち、単一・総合それぞれ5健保組合を含む上位15保険者を同会議に招待し、厚労相が表彰した。

26年度以降は、総合評価指標の合計点数で評価する現在の認定・表彰制度に加えて、「特定健診・保健指導の実施」、「要医療の者への受診勧奨、糖尿病等の重症化予防」の部門別表彰・認定制度を設ける。

総合評価指標の合計点数と、部門別の特定健診・保健指導の実施それぞれの認定、表彰の対象に保険者規模を導入する方向で、今後、単一健保で加入者1万人以上・未満に分けて評価することを検討する。

秋山理事は「新たな認定・表彰制度を創設するなど、非金銭的インセンティブを充実させる方向を評価したい」と述べた。

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