健保ニュース
健保ニュース 2026年5月合併号
8年度 健保組合予算早期集計
経常収支2890億円の赤字
米川副会長 見直し主張 高齢者医療費の負担のあり方
健保連は4月28日、厚生労働省内で記者会見を開き、令和8年度の健保組合予算早期集計の結果を発表した。全国1364の健保組合全体の経常収支は、診療報酬の大幅な引き上げや高齢者医療への拠出金の増加が影響し、2890億円の赤字となった。賃上げによる保険料収入の増加などで赤字額は前年度予算から874億円減ったが、全体の7割超を占める組合が赤字を見込む。平均保険料率は前年度比0.02ポイント減の9.32%で、平成19年以来、19年ぶりに下がった。健保連の米川孝副会長は、今後見込まれる高齢者医療への拠出金の負担増を懸念し、「中長期的な視点に立った高齢者医療費の負担のあり方そのものを見直していく必要がある」と訴えた。
7割超の組合が依然赤字
保険料率低下も
将来的な引き上げ不可避
平均保険料率の低下は、賃上げに加え、令和8年度の協会けんぽの平均保険料率の引き下げ(10.0%→9.9%)への同調や、同年度から徴収が始まった子ども・子育て支援金による負担増を吸収しようとする動きなどが影響したとみられる。
ただ、保険料率を引き上げた組合が101組合あるほか、協会けんぽの平均保険料率9.9%以上の組合も全体の3割近くに上っており、健保連は今回の低下について、「一時的なもの」との見方を示した。
また、今後、賃上げと物価高への対応を反映した診療報酬改定などの影響で、医療費の増加が見込まれるとともに、現役世代の減少に伴い、高齢者医療への拠出金の負担が従来以上に増加すると説明。
その上で、8年度の平均保険料率9.32%を維持した場合、将来的に保険料収入に占める拠出金割合が41%(8年度予算)から46%(13年度推計値)に上昇し、加入者への保険給付や保健事業に充てる財源が不足すると指摘し、「保険料率の引き上げは避けられない」と強調した。
米川副会長は現役世代の負担を緩和する方策について、「国民全体で考える必要がある」とし、「持続可能な制度とはどういうものか、一緒に合意形成を目指したい」と述べた。
診療報酬改定織り込み
保険給付費3.4%増
予算早期集計は、3月末までに報告があった1362組合のデータを基に、4月1日時点の全1364組合(前年度比8組合減)ベースで推計した。
収入のほとんどを占める保険料収入は、賃上げに伴い、3.8%増の9兆6222億円となった。被保険者1人あたりの負担額は3.3%増の56万1944円。
一方、支出のうち保険給付費は、8年度診療報酬改定(薬や材料を除いた「本体」部分の8年度改定率はプラス2.41%)などを織り込み、3.4%増の5兆3250億円となり、加入者1人あたりでは4.1%増の19万1000円となる。
高齢者医療への拠出金は2.2%増の3兆9796億円に上る。内訳は後期高齢者支援金が2.8%増の2兆4011億円、前期高齢者納付金が1.3%増の1兆5781億円。義務的経費(法定給付費+高齢者医療拠出金)に占める拠出金の割合は0.3ポイント減の43.3%(後期高齢者支援金26.1%、前期高齢者納付金等17.2%)で、50%を超える組合が全体の1割に及ぶ。
加入者の健康維持・増進のための保健事業費は、3.0%増の4906億円と見込んだ。
赤字組合は30組合減の1010組合(全体の74.0%)で、赤字総額は730億円減の3816億円。黒字組合は22組合増の354組合(同26.0%)で、黒字総額は143億円増の926億円とした。
保険料率
約3割が協会けんぽ以上
被保険者数は1712万2944人と0.6%増えた一方、被扶養者数は1075万7182人と2.6%減り、扶養率は0.02ポイント減の0.63となった。
保険料算定の基礎となる平均標準報酬月額は3.4%増の41万6078円で、伸び率は今春闘の第4回集計時点の定期昇給を除く賃上げ率3.53%とおおむね整合する。平均標準賞与額は4.1%増の128万7136円。
平均保険料率(調整保険料率を含む)を組合の形態別に見ると、単一組合(1110組合)が0.01ポイント減の9.20%、総合組合(254組合)が0.03ポイント減の9.85%となっている。
保険料率を引き上げた組合は101組合、引き下げた組合は202組合で、協会けんぽの平均保険料率9.9%以上の組合は376組合(単一組合245組合、総合組合131組合)と、全体の27.6%を占める。
また、収支均衡に必要な財源を賄うための実質保険料率は、0.13ポイント低下したが、平均保険料率を0.58ポイント上回る9.90%(単一組合9.82%、総合組合10.27%)となる。
8年度から保険料に上乗せして徴収される子ども・子育て支援金の被保険者1人あたり負担額は、1万3711円(支援金率0.23%)と見込んだ。
このほか、7年度末の準備金は2兆2600億円、別途積立金は4兆3200億円となっている。
高齢者拠出金の見通し
1500億円規模で増加
健保連は8年度予算の早期集計に併せ、13年度までの高齢者医療拠出金の見通しを示した。8年度の概算額は前年度比900億円増の3兆9000億円と試算。9年度の概算額は1600億円増の4兆600億円で、10年度以降も毎年1300億~1500億円規模で増加する見込みだ。
試算は加入者数(8年度概算額ベース)を固定し、標準報酬総額と高齢者1人あたり医療費について、8年度の見込みを基に9年度以降の賃金上昇を見込んで行った。