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健保ニュース 2026年5月合併号

連合・連合総研シンポジウム
労組と健保の連携強化を議論
両者の関与、初めて究明

連合(芳野友子会長)と連合総合生活開発研究所(連合総研)は4月13日、東京都千代田区の連合会館で、「新しい時代の保険者自治に向けて~企業年金・健康保険組合に対する労働組合の関与とガバナンス~」と題したシンポジウムを開催し、調査研究の結果報告と、それを踏まえた討論を行った。討論では労働組合と健保組合の連携強化を議論し、200人以上の関係者が、会場やオンラインで聴講した。

連合総研の清水秀行理事長は開会あいさつで、シンポジウムのきっかけについて、「企業年金と健保組合は労使による保険者自治で運営されているが、実態が明らかになっておらず、『真に機能しているか』という問題意識から、所内で勉強会を開催して研究の準備を進めてきた」と説明した。

連合総研は令和4年10月から3年にわたり、健保組合と労働組合へのヒアリングやアンケート調査などを実施し、昨年11月に報告書をまとめた。

基調講演では、研究委員会主査の駒村康平氏(慶応義塾大教授)が、今回の調査の意義について、これまで研究されてこなかった、社会保険の運営への労働組合の関与の実態が「初めて明らかになった」と強調した。

健保組合へのアンケート結果では、健康情報の発信などを強化するパートナーとして労働組合を積極的に評価する健保組合が半数近くある一方で、中立的な評価も多く、「健保組合と労働組合の関係性が多様」「過半数労働組合があるほど、健保組合の経営への関わりがある」などと報告した。

その上で、労働組合は個々の労働者の意見を集団的意思として制度に反映させることで、「保険者自治の重要な担い手になり得る」とまとめ、健保組合の互選議員や理事になり得る労働組合幹部の専門性向上と支援体制の構築などを労働組合に提言した。

続く調査報告では、丸山桂氏(上智大教授)が「企業型拠出年金と健康保険組合におけるがん検診にみる労働組合の関与について」、上村一樹氏(東洋大准教授)が「労働組合と健康保険組合の協働による健康増進事業への影響」をそれぞれ説明した。

丸山氏は被用者保険の適用拡大などを背景にした女性の被保険者増加への、健保組合と労働組合の対応を分析。主な結果として、▽女性の被保険者数増加が、子宮がんや乳がんなど女性特有のがん検診の実施と費用補助に結びつきやすい▽互選理事に占める労働組合出身者の割合が高いほど、女性特有のがん検診と費用補助が行われやすい──ことなどを挙げた。

こうした結果を踏まえ、労働組合と健保組合の連携による女性の健康課題への支援の重要性を指摘し、就労扱いでの検診受診や費用補助など支援の継続、拡充が重要だとした。

上村氏は、労働組合が健保経営と健康増進事業に関与することで、▽労働者の手取りが守られる(被保険者分の料率引き下げ)▽労働者の健康が守られる(がん検診事業の充実)▽積極的な医療受診(外来、薬剤医療費の短期的な増加)▽長期的な健康の維持(傷病手当金の支給事例の減少)──といった効果がもたらされると報告した。

このほか、白石憲一氏(群馬医療福祉大教授)が、「確定給付企業年金と労働組合の関与」を、上村氏が「確定拠出年金と確定給付年金の代替性と労働組合の関係について」を報告した。

労組の健保運営協力に期待
討論で健保連・松本参事

調査報告を踏まえた討論には、駒村氏と健保連政策部の松本展哉参事、連合総合政策推進局長の永井幸子氏が参加し、コーディネーターを連合総研主幹研究員の伊藤彰久氏が務めた。

松本参事は健保組合へのヒアリングで、労働組合が関与していると、「重要事項を決定する際の事前協議を進めやすい」「加入者への円滑な情報伝達、重要事項の周知が可能」といった声が挙がったことから、加入者の意見を健保組合の運営に生かすための労働組合との連携に期待を寄せた。

「労働組合関係者には、これまで以上に健保組合に関心を持って、保険料率や保健事業を含めた運営に協力してほしい」と呼びかけた。

永井氏は、労働組合と健保組合の連携により特定保健指導の実施率向上や禁煙プログラムの取り組み開始につながった事例などを挙げ、保険者が取り組む保健事業をより効果的にするため、「労働組合として、健保組合に今まで以上に働きかけを行ってはどうか」と提起した。

また、労働組合の健保組合への関与は限定的だと評価し、連合として、医療制度をわかりやすく説明する教材や学習の機会、労組と健保の連携による好事例の情報共有などに取り組む考えを示した。

駒村氏は連合に対し、労働組合への支援を通じた政策への労働者の意見反映を重視し、「積み上がった情報に基づいて、社会保障審議会などで、自信を持ち根拠のある主張ができるような体制を整えてほしい」と期待した。

また、「労働者の利益を代弁するだけでなく、公共的に意義のある提案をしないと留意されない」と述べ、公共善にも訴えることが必要だと指摘した。

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