健康コラム
賢い患者になろう〜電話医療相談の現場から〜 By COML vol.129
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。
【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子
紹介状(診療情報提供書)の取り扱い
相 談76歳の母が脳梗塞で倒れ、救急車で病院に運ばれて治療を受けました。かなり重症の脳梗塞で、意識が回復することは望めないと言われました。その後、肺炎を発症したので、そのまましばらく運ばれた病院に入院していたのですが、肺炎がある程度落ち着いたら転院という話が出て、いくつかの転院先の候補を提示され、その中から1カ所の病院に紹介状を持って相談に行くことになっていました。
ところが、候補の病院を訪問する前日、母の容態が悪化して亡くなってしまったのです。その後、お葬式などでバタバタしていて、母の死から3週間経った昨日、渡されていた紹介状のことを思い出したのです。「紹介状は勝手に開けてはいけない」と聞いたことがありますが、もう使わないものだし、母も亡くなっているし…と思い、開封してみました。すると、別の人の紹介状が入っていたのです。
私は驚いて、すぐに病院に電話し、別人の紹介状だったことを伝え、母の紹介状が他人の手に渡っている可能性があると伝えました。すると医事課の職員が「こちらで調べますので、お手元の別人の紹介状は破棄しておいてください」と言うのです。大切な個人情報なのに、そのような扱いでいいのでしょうか。
コメント山口育子(COML)
紹介状(診療情報提供書)には患者さんの氏名、生年月日、住所や電話番号などの連絡先、病名、病状などが記されていますから、とても大切な個人情報が満載されています。それだけに、「破棄しておいてください」という医事課職員の対応はいかがなものかと思います。本来なら、誤って渡された紹介状を病院側が取りに来て、お詫びするのが当然だと思います。また、すり替わってしまった紹介状についても調査し、その結果をきちんと報告しなければならないでしょう。
本来は上記のような対応があってしかるべきだと思うのですが、そのような対応がなかったのであれば、今後トラブルにならないためにも、病院に送るか持参するかして確実に返しておかれたほうがいいのではないかと思います。その際、個人情報の取り扱いについてお感じになった疑問も、できれば病院にお話しになってはいかがでしょうか。
NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ
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