健康コラム
賢い患者になろう〜電話医療相談の現場から〜 By COML vol.131
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。
【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子
納得できない不十分な治療判断や対応
相 談先日、22歳の息子が自動車を運転中に信号無視をして交差点に突っ込み、別の自動車との衝突事故を起こしました。息子は打撲し、救急車で病院に搬送されて検査や治療を受けました。連絡を受けて私(父親)が病院に駆けつけたときにはちょうど治療が終わったところで、7万円の請求をされました。私が「現金の持ち合わせがありません」と伝えると、「クレジットカードをお持ちならカード決済できますので、できればいま全額お支払いください」と言われ、カードで支払いました。
その後、夕方になって息子が足の痛みを訴えたので、昼間お世話になった救急隊に相談したところ、「同じ病院で診てもらったほうがいいでしょう」と再び救急車で搬送してくれたのです。CT検査で膝の関節にひびが入っていると判明したものの、点滴を受けただけで、発熱しているからとインフルエンザの検査をして(結果は陰性)帰宅を促されました。
不安を感じた私は、以前からお世話になっている病院に翌朝息子を連れて行ったところ、絶対安静で即入院となりました。最初に運ばれた病院は肝心の治療に関する判断が不十分で、カードでの支払い強要や関係ないインフルエンザの検査をするなど納得できません。
コメント山口育子(COML)
病院の経営の問題になっている一つに、患者さんの医療費の未払い(未収入金)があり、特に救急医療の現場で起こりがちと言われています。そのようなこともあり、クレジットカードでの支払いを提案したのでしょう。そのこと自体、病院の対応が誤っているとは言えないと思います。
ただ、膝の関節にひびが入っているのに点滴だけで帰したことについては、もしそれによって症状が悪化したり、治療の開始が遅れたことでマイナスの事態に発展していたりすれば、最初の病院の非を問うことは可能かもしれません。まずはいま診てもらっている病院で、膝の関節にひびが入っている場合の一般的な治療方法とその根拠、さらには入院して絶対安静になったのが翌日だったことで症状が悪化した可能性があるのかどうかを確認してはどうでしょうか。そのうえで、今後の対応方法を考えてはどうかと思います。
NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ
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