健康コラム
賢い患者になろう〜電話医療相談の現場から〜 By COML vol.142
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。
【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子
「かかりつけ薬剤師」とは?
相 談私(67歳・女性)は高血圧と糖尿病があり、定期的に地域の小さな病院に通院しています。その病院は院外処方なのですが、病院近くの薬局はあまり対応がよくなかったので、自宅近くの薬局でいつも薬を調剤してもらっています。
先日もいつものように処方せんを持って薬局に行ったところ、一人の薬剤師さんから「あなたのかかりつけ薬剤師として認めていただきたいのですが、同意書にサインいただけますか?」と言われました。私がいつも気軽に相談している薬剤師さんは別の方で、声をかけられた薬剤師さんはとっつきにくい人なので、その人が対応してくれたときにはあまり話をしないようにしています。なので「いつもご相談しているのは〇〇薬剤師さんなのですが……」と言うと、「〇〇はかかりつけ薬剤師にはなれないので……」と言葉を濁され、とてもきまりの悪い雰囲気になりました。
結局、「少し考えさせてください」と保留にして帰ってきたのですが、かかりつけ薬剤師として認めてほしいとは、どういうことなのでしょうか。
もし認めるとしても、なぜ患者が相談しやすい薬剤師さんを選ぶことができないのでしょうか。
コメント山口育子(COML)
かかりつけ薬剤師というのは、2016年4月の調剤報酬改定で新たに登場した「かかりつけ薬剤師指導料」という点数に関係しています。かかりつけ薬剤師の候補になれるのは、その薬局で半年以上の勤務経験があり、週32時間以上勤務していて、一定の研修を受けているなど、かなり厳しい基準があります。そのため、薬局に勤めている薬剤師すべてが対象にはならないので、患者が自由に選ぶことができないのです。また、言われたから必ず同意しないといけないわけではなく、最終的には患者の自由意思に基づいて決めることができます。かかりつけ薬剤師に同意しなくても、処方せんを1カ所に集める「かかりつけ薬局」を決めて薬の一元管理をしてもらうことは大切です。薬が重複して出されていないか、以前アレルギーや副作用が出た薬が処方されていないか、薬剤師は目を光らせてくれているからです。
NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ
詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/
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