健康コラム
賢い患者になろう〜電話医療相談の現場から〜 By COML vol.96
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。
【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子
高額な医療費請求、なぜ?
相 談一人暮らしをしている28歳の娘が、仕事中に息苦しさを訴えて倒れ、救急車で病院に運ばれました。会社から連絡を受け、私(母親)は片道3時間かけて病院に駆けつけました。ところが、病院に到着したときには娘はすでに自宅に戻ったと聞かされ、娘の住むアパートへと向かいました。
何があったのか娘に聞くと、息苦しさを覚えて呼吸が荒くなり、胸の圧迫感を訴えたところ、驚いた同僚の方が救急車を呼んだのだそうです。そして県立病院に運ばれて検査を受けた結果、過換気症候群と診断され、しばらくすると呼吸状態も安定したので帰宅していいと言われたのだそうです。
娘が「医療費として4万円以上請求された」と言うので驚いて領収書を見ると明細書がついていて、何やら難しい用語が並んでいました。持ち合わせがなかったのでクレジットカードで支払ったというのですが、大した治療を受けたわけではなく、一泊もしていないのに高すぎると思いました。
そこで病院に電話をして問い合わせてみると、「娘さんが運ばれたのは当院の救命救急センターなので、高額になってしまいました」と言われました。どういうことでしょうか。
コメント山口育子(COML)
救急車が到着した段階では呼吸困難を訴えていたわけですから、その原因は何なのかわからず、とりあえずは大きな病気を考えて搬送先を選んだのだと思います。病院到着後に診察した結果、過換気症候群という、酸素と二酸化炭素のバランスが崩れ、二酸化炭素が不足したことによる呼吸困難であると判明しました。過換気症候群は心臓や肺の疾患で起きるものではないため、早期に自宅に戻ることができたのでしょう。
救命救急センターは第三次救急と呼ばれる高度な救命センターなので、検査や点滴、一定の治療が包括化された高い点数が定められています。娘さんの場合、結果からみると重い病気ではなかったわけですが、発症時には判別できないことがあります。そのため、いったん救命救急センターに運ばれてしまうと、その高い点数の対象になってしまい、高額な請求になったのだと思います。
NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ
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