健康コラム
賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.106

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。
【相談担当】
認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
理事長 山口 育子
病の進行にショック 患者が治療方針を決めるの?
相 談72歳の父が食道がんと診断され、今後の治療について説明を受けるというので同席してきました。医師は父の病状の説明と考えられる治療方法の選択肢を複数示し、父の希望を聞き出そうとしました。しかし、かなり専門的な説明で、父の表情を見ているとあまり理解できていないのではないかと感じました。また、思っていた以上に食道がんが進行しているようで、そのことにショックを受けて頭が真っ白になったことも、より理解することを困難にしているように感じました。
医師は、「恐らく、ここまで病気が進んでいると思っておられなかったでしょうから、ショックを受けられたかもしれません。今すぐ答えを出さなくてもいいんですよ。分からないところは質問してもらっていいし、一緒に考えていきましょう」と言ってくださったのですが、父は後で「医師は専門家なんだから、一番いいと思う治療方法を決めるのが仕事じゃないのか。あんな難しい説明をされても、素人に理解できるはずもなければ、決めるなんてなおできない」と嘆いています。
今は全てを伝えて患者が自己決定する時代だと聞きますが、そうなのでしょうか。父の担当医の説明や態度が今のスタンダードなのか、それともたまたま厳しい医師に当たってしまったのか、どうなんでしょう?
回 答COML(コムル)理事長 山口育子
インフォームド・コンセントが「説明と同意」と訳されて日本の医療に導入されてから約35年がたちました。この間、医師は時間をかけて詳しい専門的な内容を嘘偽りなく説明してくれるようになったことは、大きな変化です。ただ、インフォームド・コンセントが定着するにつれ、医師が必要だと思う内容は、一方通行の説明になりがちです。
そこで、新たに導入されつつある概念が、シェアード・デシジョン・メイキング(Shared Decision Making:SDM)、「共有意思決定」です。患者と医師が情報を共有し、話し合いながら一緒に決めていこうという考え方です。お父さんの担当医は恐らく、この考え方で接しようとしているのだと思います。患者も分からないことはそのままにせず、理解して自分はどうしたいかを考えることが大切です。
認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ
詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/
電話医療相談:TEL 03-3830-0644
〈月・水・金 10:00〜13:00、14:00〜17:00/土 10:00〜13:00〉
ただし、月曜日が祝日の場合は翌火曜日に振り替え
提供:健康保険組合連合会
放送:ラジオNIKKEI 第1 毎月第4金曜日 17:30~17:50
聴取可能アプリ:radiko、Apple Podcasts、Spotify
