健康コラム

賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.54

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。

【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子

月の途中で転職、高額療養費の合算はどうなる?

相 談私(男性・48歳)は現在、大腸がんのため外来化学療法で抗がん剤治療を受けているのですが、それ以外にも持病があって、内科と眼科と歯科にかかっています。すべて異なる医療機関なのですが、内科と眼科でも少し高額な治療を受けています。

外来化学療法で支払っている医療費の月額は35,000円ほど。内科では25,000円、眼科では30,000円、歯科は10,000円ぐらいの出費で、これぐらいの医療費がかかる治療がこの先半年ぐらい続く予定です。

高額療養費制度があることは知っていたのですが、それぞれの金額だと上限額には達しないので諦めていました。ところが知人から「合算して高額療養費の対象になるはず」と言われ調べたところ、私のように70歳未満の場合、1カ月の負担額が21,000円以上のものは合算して申請すれば、自己負担限度額を超えた分が償還払いされると分かりましたので、それ以来、申請しています。

ところが、抗がん剤治療を受けている関係もあって、転職することにしたのです。そのため、月の途中で保険証を変更しなければいけなくなりました。このような場合、高額療養費制度の合算はどのようになるのでしょうか。2つの保険者で折半して支給してくれるのでしょうか。

回 答山口育子(COML)

相談者の言う通り、70歳未満の一般の方の場合、複数の科や医療機関にかかっていて、1カ月の負担金額が21,000円以上になると合算して申請できます。この方の場合は、歯科は対象にならないので、外来化学療法と内科、眼科が合算の対象になります。

途中で退職や転職などによって保険証が変わる場合は、同じ保険者――例えば、中小企業が加入している「協会けんぽ」だった方が、転職後も「協会けんぽ」であれば、新しい保険証に変わっても継続して申請が可能です。しかし、「協会けんぽ」から「健康保険組合」や「国民健康保険」など、保険者が変更になる場合は、合算することができないのです。これは、年に4カ月以上高額療養費に該当すると自己負担限度額が減額される「多数該当」も同じ考え方です。

認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ

詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/

電話医療相談:TEL 03-3830-0644
〈月・水・金 10:00〜13:00、14:00〜17:00/土 10:00〜13:00〉
ただし、月曜日が祝日の場合は翌火曜日に振り替え

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