健康コラム
賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.60
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。
【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子
病院の対応に不信感 父の死の真実を知りたい
相 談88歳の父が体調を崩し、様子がおかしいので救急車を呼んで病院に搬送してもらいました。検査の結果、急性胆管炎と診断され、入院することになりました。その際、いきなり医師から「どうしますか?」と聞かれたので、「何のお話ですか?」と尋ね返すと、「この先の治療ですよ。このくらいの年齢なら何もしない選択肢もあります」と言うのです。私(息子)は、「できる治療があるならお願いしたいと思っています」と伝えたのですが、コロナ禍のため病室で付き添うことは許されず、その日は帰宅しました。
翌日、病棟の看護師長から電話がかかってきて、「入院中は面会も病院への問い合わせも禁止です。何かあったら病院から連絡します」と言われ、容態も治療内容も分からないまま1カ月が過ぎたのです。そして、突然、病院から「危篤なので、すぐに来てください」と電話がかかってきたので駆け付けると、ようやく面会できた父は見る影もない姿に変わり果てていて、2日後に亡くなりました。あまりにひどい最期に家族として到底納得できません。救急搬送した当初から、医師や病院にはよくなるために丁寧な治療をしようという姿勢がみえませんでした。父が亡くなった真実を知るための記録を手に入れるにはどうしたらいいのでしょうか。
回 答山口育子(COML)
確かに、最初から明らかに治療をする意欲がない発言をされ、途中何の連絡もなく、いきなり危篤と言われて変わり果てた姿のまま亡くなれば不信感を抱くのは当然です。
記録を手に入れるにはカルテ開示請求をするのも一つの方法ですが、記録の一部開示に留まってしまう可能性もあります。全ての記録を確実に手に入れたいと望むならば、証拠保全の申し立てを裁判所に行う方法があります。自分で申し立てたり、申立書の作成を司法書士に依頼したりすることもできますが、証拠保全の申し立てとなると弁護士に依頼して行うのが一般的です。ただ、その場合は引き受けてくれる弁護士を探すことから始まります。弁護士に相談する際は、契約する前に手続きや費用についても率直に質問し、事前によく確認するようにしましょう。
認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ
詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/
電話医療相談:TEL 03-3830-0644
〈月・水・金 10:00〜13:00、14:00〜17:00/土 10:00〜13:00〉
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