健康コラム
賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.82
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。
【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子
足の痛みがひどくなったのは検査もない接骨院を受診したせい?
相 談私(69歳・女性)は半年前に足が痛み、腫れてきたので、近くの整骨院に行きました。すると柔道整復師の“先生”から「膝に水がたまっていて、変形性膝関節症ですね」と言われ、2カ月で10回ぐらい通いました。手でマッサージしてもらった結果、少しずつ足の痛みが取れていきました。そのため、通院するのは2カ月でやめたのです。
ところが、通院をやめて2~3週間たつと、足の別の部位が痛み始めました。そこで、今度は接骨院に行ったのですが、そこも柔道整復師の“先生”が診てくれて、「変形性膝関節症ではなくて、脊柱管狭窄(きょうさく)症ですよ。私が治せますから通ってください」と言って“治療”が始まりました。そして「あなたの場合、22回通うことをお勧めします。22回分の回数券を購入すると1回分お得になりますよ」と言われました。年金生活の私には22回分の回数券なんて買えないと断ったのですが、数カ月で合計10万円近い金額を請求されました。
それだけお金を費やしたにもかかわらず、先月から痛みがひどくなり始め、歩くと電気が走るような痛みが生じます。それを柔道整復師の“先生”に言うと「私にも限界があります」と逃げ腰になってきたのです。検査もせずに診断して治療を受けてきたことに問題があったのでしょうか。
回 答山口育子(COML)
じっくりお話を伺うと、医師と柔道整復師の違いを明確に理解されていないことが分かりました。柔道整復師は医師ではないので、検査をすることも診断することもできません。それだけに、変形性膝関節症や脊柱管狭窄症などと断定することは問題で、何の根拠もありません。また、柔道整復師が開院できるのは“接骨院”なのですが、都市部を中心にいつの頃からか“整骨院”が増えていきました。人気はあるけれど無資格の整体院にあやかったようです。現在その名称は問題になり、今後新しく開院する場合は“接骨院”しか認められないようになりました。それに、柔道整復師が行うのは“治療”ではなく“施術”です。お得な回数券をうたうのも問題です。まずは整形外科を受診して検査を受け、正しい診断をしてもらいましょう。
認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ
詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/
電話医療相談:TEL 03-3830-0644
〈月・水・金 10:00〜13:00、14:00〜17:00/土 10:00〜13:00〉
ただし、月曜日が祝日の場合は翌火曜日に振り替え