健康コラム
賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.86
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。
【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子
可能な限り延命治療を希望したい本人と家族の思いは尊重できる?
相 談97歳の祖母は心不全でペースメーカーを入れているのですが、それ以外に大きな持病はありません。ただ、年齢を重ねるごとに足腰が弱り、要介護5で介護施設に入所していました。
1週間ほど前、足のむくみと貧血がひどくなったということで、病院に搬送され入院しました。さまざまな検査をしたところ、血液がんの可能性が高いと言われ、医師から「もう施設に戻ることはないでしょう」と言われました。
祖母はここ2~3年は、以前のように意思疎通ができなくなっているのですが、それまでは事あるごとに「たとえ意識がなくなったとしても、どんなことをしてでも生かしてほしい」と言っていたのです。
そこで、医師に「この先、状態が悪化したときに可能な限りの延命治療をお願いできますか」と尋ねてみたのですが、「97歳の患者さんに可能な限りの延命治療はご本人がつらいだけです」と言って延命に後ろ向きで、「無理難題を言っている孫」扱いを受けてしまいました。そのとき母も同席していたのですが、医師の発言を聞いて何も言えなくなったようです。母も祖母から何度も言われていたので、本当は私と同様の希望なのです。家族の思いは尊重されないのでしょうか。
回 答山口育子(COML)
どちらかというと「無駄な延命は拒否したい」「装着した人工呼吸器を外してほしい」という相談が多い中、正反対の内容でした。もちろん「できるだけの延命治療を受けたい」というのもご本人の意思であれば、否定されるものではありません。ただ、相談者にさらに詳しくお話を伺っても、お祖母さんが可能な限りの延命治療を望んでいた理由や希望する延命治療の具体的な内容までは聞いていないとのことでした。さらに、どのような延命治療を受けるとどんな状態になるのかお祖母さんが十分理解した上での希望なのかも不明でした。
まずは担当医に可能な限りの延命治療はお祖母さん自身の希望であったことを伝え、どのような治療をすればどんなつらさがあるのか具体的な説明を求めてはどうかとアドバイスしました。
認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ
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