健康コラム
離れて暮らす親のケア vol.112
NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。
【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子
病院嫌いな親の認知症を疑ったとき
親の認知症を疑った場合、精神科やもの忘れ外来に連れていくべき、と理解していても…。受診を促すすべがわからず困ることがあります。
Tさん(男性40代)も1人暮らしをしている父親(70代)を受診させたいのですが、手をこまねいています。父親はもともと几帳面(きちょうめん)でしたが、このところ家の中は雑然とし、言動にもちぐはぐな面が。何度も同じ内容の電話をかけてくるので、「さっき、答えただろ」と言っても忘れている様子だとか。また、台所には手を付けていない同じ缶詰が大量に放置されていることも気掛かりだといいます。「祖父もそうだったので、認知症だと思うんです。受診させたいのですが、父はかたくなに拒否します。先日も、予約までして根気強く説得しましたが、駄目でした」とTさん。
同居や近居なら、様子を観察しながら、タイミングを見計らって連れていくこともできるかもしれません。けれども、遠くに暮らしていて、「次に帰省したとき」となると、半年、1年と日が経ち、症状が進行してしまうこともあります。
そんなときに役立つのが、「認知症初期集中支援チーム」です。医療や介護につながっていない認知症の人や疑いのある人の自宅を訪問し、受診や介護サービスの利用につなげます。早期に対応することで、症状を軽くしたり、進行を遅らせたりすることも。チームは認知症の専門医と医療・介護の専門職で構成されています。窓口は親の地元の地域包括支援センターです。相談・訪問は無料なので気軽にコンタクトしてみましょう。