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離れて暮らす親のケア vol.128

NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子

「施設入居」は介護終了ではない

親の入居する高齢者施設を探し、ようやく納得できるところに巡り合えたらー、ホッと安堵(あんど)するのかと思いきや、親のことを手放すようで「寂しい」と話す人が少なくありません。「もう少し頑張って在宅で支えよう」と考え直し、入居を辞退する人もいます。

Mさん(女性50代)の母親は要介護4で、車で40分ほどの実家で1人暮らし。介護保険の居宅サービスを利用していますが、「仕事と介護の両立に疲れて体調を崩しがちなんです。そのため、特養(特別養護老人ホーム)に申し込みをしていました」。入居まで、半年か1年、あるいはそれ以上かかるだろうと考えていたのですが、2カ月で入居できるとの連絡がきました。母親に、「どうする?」と聞いても、「あなたに任せる」としか言いません。「母は言葉にしないけれど、本音は入居したくないのだと思います」とMさん。入居させる決断がつかないようです。

Mさんの迷う気持ちも理解できます。けれども、さまざまな事情を鑑みて、施設介護を選ぼうとしたのではないでしょうか。施設に入居するからといって、親子の縁が切れるわけでも、介護が終わるわけでもありません。Mさんの通う場所は、実家から施設に変更。施設に会いに行き、施設のスタッフから母親の普段の様子を聞いて、心身の状況を確認します。不自由や困っていることがあれば、本人に代わって施設側に伝えます。〝正解〟はありませんが、プロから24時間体制で介護を受けられ、介護者であるMさんが元気を取り戻せるなら、本人にとっても悪くない選択だと思います。

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