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離れて暮らす親のケア vol.13

NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子

聞いておきたい親の意思

支援や介護を要する親が施設に入ることに対し、罪悪感をもつ子は少なくありません。でも、親のなかには「施設の方が安心」と入居を希望する人もいます。そのような親であれば、申し訳ないと頭を下げているよりも施設の情報収集を手伝うなど前向きなサポートをするほうが、ずっと親のためになります。

離れて暮らして数十年が経過していると、親子とはいえ、ライフスタイルや価値観にも違いが生じており、本音のところを汲み取りにくくなっているのでしょう。

どこで、どのように暮らしたいかと同時に、最期の迎え方についても聞いておけるといざという時に慌てずにすみます。親の意思が分からないと、子としてはどうしてあげたらいいか悩むことになるからです。先日、Yさん(50代・男性)は親戚の法事で実家に帰った折に、夜、両親とお茶を飲みながら思いきって切り出したそうです。「もし、病気とかで意識がなくなったときに、どういう治療をしてほしいと思っている?」と。すると即座に母親は「延命治療のこと?管だらけになって生きながらえるのは嫌よ。断ってね」ときっぱり。父親も頷いています。想像していた以上に、両親の意思は固いようで、「確認しておいてよかった」とYさん。

住まい方にしろ、治療法にしろ、必ずしも親の希望を叶えられるとは限りません。ですが、本人の意思を知っていてこそサポートの方向性を考えることができるのではないでしょうか。聞きにくいことではありますが、親が弱ってきたら一層聞きにくくなります。

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