HOME > 健康コラム > 離れて暮らす親のケアバックナンバー > 離れて暮らす親のケア vol.135

健康コラム

離れて暮らす親のケア vol.135

NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子

同居を断るのは親不孝?

介護を必要とする親から「一緒に暮らしてほしい」と頼まれることがあるかもしれません。親の希望をかなえてあげたいと思っても、たいていの場合、いくつものハードルがあるものです。

Aさん(女性50代)の父親(80代)は実家で1人暮らしをしています。介護保険の認定は「要介護1」。身の回りのことはできますが、新型コロナの影響もあってか気弱になっている様子。「こっちに戻ってきてほしい。1人暮らしは心細いんだ」と弱音を吐きます。Aさんはシングルなので、自分さえ決断すれば仕事を辞めて実家に戻れないわけではありません。しかし、「実家に戻るなんて、自分の生活が音を立てて崩れるような気持ちになります」とAさん。先日も帰省した際、父親がしつこく同居の話をするため、「無理なものは無理」と声を荒らげたそうです。「きつい言い方をしてしまいました。親不孝ですよね」とAさんはため息をつきます。

Aさんに限らず、同居を望む親への対応は難しいものです。中には、親の気持ちを優先するあまり、子にとって納得のいかない選択をするケースも。しかし、そうなると、せっかく同居しても親子間がどんどん険悪になったり、ストレスからこころを病んだりする場合もあります。

親の孤独感が大きいようなら、高齢者施設への入居の検討も視野に入れては。本人が「施設は嫌だ」と言うなら、ケアマネジャーに相談し、在宅のままサービスを増やしてもらいましょう。両者にとって納得がいく方法はそう簡単には見つかりません。よく話し合って、落としどころを探りたいものです。

バックナンバー

健康コラム
KENKO-column

HOME > 健康コラム > 離れて暮らす親のケアバックナンバー