HOME > 健康コラム > 離れて暮らす親のケアバックナンバー > 離れて暮らす親のケア vol.138

健康コラム

離れて暮らす親のケア vol.138

NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子

要介護の親がいると海外旅行はダメ?

新型コロナの位置付けが5類に移行し、海外へ出かける人が増えてきました。しかし、高齢の親がいると、渡航中に何かあったらとの不安から、行きたくても、迷いが生じるという声をしばしば聞きます。自分だけ楽しむことに罪悪感が湧くという人もいます。

Tさん(女性60歳)はハワイが大好きで、新型コロナが始まる以前は、年に1度は出かけていました。コロナ禍は諦めていましたが、最近、「行きたくて、ウズウズしています」と話します。けれども、車で1時間ほどの実家では母親(85歳)が1人暮らし。要介護2で、平日はデイサービスとホームヘルプサービスを利用しています。週末はTさんが行って、身の回りの世話をしています。「渡航中に、もし母に何かあったら後悔しそうで。でも、私も60歳。そんなことを言っていると、一生行けなくなりそうで……」と悩んでいました。

確かに、海外へ行くと、何かあっても駆け付けるのに時間がかかるでしょう。けれども、母親が85歳ということは、もしかするとあと20年くらい介護が必要かもしれません。20年たてばTさんも80歳になります。海外旅行に限った話ではありませんが、親が安心して生活できる環境を整えることができるなら、子はやりたいことをやってもいいと思います。そのときだけ自費でヘルパーに来てもらったり、場合によってはショートステイを利用したり。我慢ばかりしていると気持ちがギスギスしてきて、その雰囲気は親にも伝わってしまいます。自分が笑顔になれば、親にも笑顔になってもらえるのではないでしょうか。

バックナンバー

健康コラム
KENKO-column

HOME > 健康コラム > 離れて暮らす親のケアバックナンバー