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離れて暮らす親のケア vol.140

介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

「リースバック」って安心できる?

リースバックという言葉を聞いたことがあるでしょうか。自宅を不動産業者に売却。同時に、賃貸借契約を結び、その後は家賃を払いながら同じ家に住み続ける不動産取引です。まとまった資金調達ができるうえ、住み慣れた家で暮らし続けることができると、シニア層を中心にここ数年で利用者が増えています。

Mさん(男性50代)の両親は実家で2人暮らしをしています。先日、父親から話があると言われ帰省したところ、「この家をリースバックしようと思う」と言われました。「唐突で、不動産屋にだまされているんじゃないかと心配なんです」とMさん。父親は、「老後資金を得られるうえ、ここに住み続けられるなんて、願ったり叶ったりだ」と今にも売却しそうな勢いだったそうです。

親があまりに前のめりだと、子としては不安にもなります。どんな契約にもメリットとデメリットがあります。実際、リースバックの取引でもトラブル事例があるようで、国民生活センターも利用に際して注意喚起を行っています。確かに、売却しても住み続けることができるのは魅力でしょう。しかし、売却価格は相場よりも安く、家賃は高額になる傾向があります。契約更新時に値上げされることもあり、契約期間が定められる場合が多く、ずっと住み続けられる保証はありません。

契約内容をしっかり理解し、それが親の望みと合致すれば、親のこれからの人生にとって有意義な選択となるのかもしれません。ただし、強引な業者も存在します。「こんなはずでは」とならないよう、親の気持ちをよく聞き、一緒に契約内容を精査し検討したいものです。

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