健康コラム
離れて暮らす親のケア vol.157
介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。
個室にしてあげたくても難しい
病気やけがで入院した場合、6人部屋などの大部屋は部屋代がかかりません。しかし個室だと差額ベッド代がかかり全額自己負担。かなりの高額になることも。
Mさん(40代)の母親(70代)は腹痛で外来を受診しました。すぐに治療が必要とのことで慌ただしく入院。離れて暮らすMさんは、母親からの電話に驚き、翌日仕事を休んで新幹線で駆け付けました。母親は1人暮らしのため、Mさんが入院保証人になるなどの手続きをしなければなりません。
手術の翌日、一旦、Mさんは自宅に帰りました。再び病院に戻ると、なぜか母親は個室にいます。「いびきのうるさい人がいて眠れないからお願いしたの」と母親はあっけらかん。体調は順調に快復しているようです。
母親の病室は1日1万5000円。母親には経済的なゆとりはありません。「いつも、母はこんな感じ。腹が立って、『自分で払えないのに、どうして個室なの』と怒鳴ってしまいました」とMさん。性格にもよりますが、子どもに対し、経済的なことも「頼って当たり前」と考える親もいます。けれども、多くの場合、子は自分の生活で精いっぱい。Mさんは、母親が入院したことで仕事を休み、新幹線で往復。交通費もばかになりません。
親が倒れるのは突然です。親がある程度の年齢になったら元気なうちから、医療費や介護費をどうするか、家族間で話し合っておきたいものです。Mさんは病院に事情を話し、個室から6人部屋に戻してもらいました。「母にはかわいそうなことをしました。病院にも手間をかけさせてしまった」とうなだれますが、仕方ないこともあります。