健康コラム
離れて暮らす親のケア vol.168

介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。
子育て中なのに親が倒れた!
晩婚化・晩産化に伴い、子育てと介護を同時に行わなければならない世帯が増加。ダブルケアと呼ばれています。一方でも大変なのに、両方ともなると……。
Mさん(40代)は39歳で出産しました。子育てと仕事で慌ただしい日々。そんなある日、実家の父親から「母さんが倒れて、救急搬送された」と電話がかかってきたのです。実家は新幹線を使ってドアツードアで約3時間。「一瞬、どうしよう、と思ったけれどすぐに行くしかないですよね」とMさん。夫の母に自宅に来てもらい子どものことを頼み、Mさんは病院へ。母親は脳梗塞でした。幸い、すぐに救急搬送されて治療を開始できたので、命の危険は免れました。Mさんは一人っ子なので、他に頼る人がいません。病院に向かう道すがら、「仕事を辞めることになるのかな」と思ったそうです。
滞在4日目、父親が真剣な表情でMさんに「家に戻れ。子どももいるし、仕事もあるじゃないか。いつまでもこっちに居ると、母さんが心配するから」と。父親の言葉に背中を押されて、Mさんは病院を後にしました。
以降は、週末を利用して月1回帰省。母親はリハビリを経て退院し、介護保険のサービスを利用するようになりました。母親のケアマネジャーからも、「あなたは自分の生活を優先してください。お父さんもいらっしゃるし、こちらは大丈夫」と心強い言葉をもらったそうです。
親のことは大事ですが、子にも大切な人生があります。1人で抱え込まず、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談して、上手にサービスを利用しましょう。特に、子育て時期は、育児を優先してよいと思います。