健康コラム
離れて暮らす親のケア vol.24
NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。
【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子
「悩み」は誰かに話してみる
親のことで悩みや葛藤が生じたとき、どのようにして心の負担を軽減していますか。
NPO法人パオッコではおおむね月に1回、「パオッコサロン」を開催。毎回、10人前後が参加し、それぞれの課題や悩みを共有しています。
初参加のAさん。「遠方の母は耳が遠くて、電話でのコミュニケーションが難しい」とため息。すると他の参加者から「うちも同じ。電話だと、『言った、言わない』でケンカになるので、最近はメールばかりです」。Aさんは、仲間の存在にほっとした表情になられました。
深刻な話をする方もいます。父親を亡くしたばかりだというBさん。「実家で暮らす父が亡くなりました。父親とは、ずっと確執があり、とうとうコミュニケーションをとれないまま看取ることになってしまいましたよ」。
他の参加者はそれぞれの思いを持ってBさんの話を聞いています。Bさんの長年の葛藤を癒せる言葉は持ち合わせていませんが、それでも、理解することはできます。恐らくBさんは少しだけ、心が軽くなったのではないでしょうか。
悩みや葛藤は抱え込まず、誰かに話してみませんか。友人や知人でもいいし、信頼できる介護や医療の専門家でもいいでしょう。パオッコのような当事者グループも一案です。誰かに聞いてもらうことで、解決はしなくても気持ちが楽になることも。言葉にすることで、自身のもやもやした気持ちがすっきりするかもしれません。