健康コラム
離れて暮らす親のケア vol.27
NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。
【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子
便利家電を上手に活用
私たちは起床してから夜床につくまで、ずいぶんたくさんの家電を利用するものです。同じように、離れて暮らす親もいくつもの家電を使って生活しています。
昨年妻を亡くした80代のTさんはひとり暮らしです。息子家族は遠方に暮らしています。洗濯機の横には、生前、奥さまが書かれた「使い方メモ」が貼られています。炊飯器も洗濯機も使いこなしますが、困ったのが電子レンジだったそうです。料理好きの奥さまは、オーブン機能が備わった多機能レンジを愛用されていました。「あたため」スイッチだけは息子に教えてもらったものの、どうしても使い勝手が悪くて買い替えました。「ひとりなので、コンパクトなもので十分。安く買えましたよ。これはスイッチひとつなので、日に何度も使っています」とTさんはにっこり。そう話すとTさんは、机の引き出しから箱に入ったままの電子辞書を取り出しました。「使えないっていうと、これもそう。息子が誕生日にくれたんですが難しくてね」。こちらも多機能なのか小さなボタンがたくさんあって、おまけにアルファベットキーでの入力。50音順の配列のほうがよかったのではないでしょうか。
日々の暮らしで親がどのような家電を使っているか検証してみませんか。もちろんなんでも買い替えればいいというわけではありません。ですが、不自由があれば、不自由の原因を探って見直す。すぐに沸く電気ケトルや、ロボット型掃除機を購入したお年寄りから「便利!」と喜びの声を聞くこともあります。