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離れて暮らす親のケア vol.30

NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子

定年後は郷里に戻る?

長寿となり、子が定年を迎える頃、離れて暮らす親がまだまだ元気に過ごしているケースは珍しくありません。とても喜ばしいことです。子の定年後、一緒に暮らすことを願っている親もいるでしょう。そんな期待を知ってか、「退職したら、帰るよ」と言葉にしている息子や娘も。親の期待はますますアップ!

しかし、実際そのときが近づくと難しい判断になりがちです。退職しても、友人や趣味諸々これまで築いてきた生活は、現在住んでいる土地にあるからです。

T子さんは夫婦同郷。どちらも母親が独居なので、夫の定年後は郷里に戻る予定でした。ところが、昨年娘が出産。「孫が熱を出したときなどお呼びがかかるのよね」とT子さん。「夫も孫にベタベタで、結局郷里に戻るのはやめにしました」と話します。Uターンを心待ちしていた母親たちはガッカリした様子だったとか。

一方、夫婦で意見が対立したというのは、来年定年を迎えるK男さんです。定年後は、実家に戻る決意をしていましたが、最近になって妻から「戻るなら、どうぞおひとりで」と言われました。東京育ちで、今まで東京圏から離れたことのなかった妻は、60歳近くになって夫の郷里で暮らすことにためらいを感じ始めたようです。友達はいないうえ、「嫁姑問題」が始まるかも…、と。

定年後のUターンについては、じっくりシミュレーションしたうえで計画することが大切です。土壇場でのキャンセルは、親にとっても、子にとってもその後の人生設計に大きく影響します。

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