健康コラム
離れて暮らす親のケア vol.41
NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。
【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子
時には親とぶつかりあって
子とすれば、離れて暮らす親に対して精一杯のことをしていても、親は「もっとして欲しい」と望むケースがあります。M子さん(50代)は週に1度は母親を買い物に、別の日は父親を病院に連れて行きます。その他、実家の掃除や片付けをおこなうために度々通います。
M子さんは、ほとほと疲れています。「私は、最大限がんばっているつもりですが、親は不満ばかり…」と。先日、季節の衣替えを手伝ったのですが、母親は気に食わないことがあったのか「あなたは、役に立たないわね」とヒステリックに叫んだそうです。
そういえば、Hさん(40代)もこんなことを呟いていました。隔週末、電車で3時間の距離を往復して一人暮らしの父親をサポート。Hさんの様子を見て、父親の隣人が「お宅の息子さんは、親孝行ね」と言いました。ところが、父親は顔をこわばらせて「親孝行なんてとんでもない。月に、たった2回しか顔を見せない」と吐き捨てるように言ったのだとか。
どちらのケースも、子の立場からするとため息をつきたくなります。確かに、言い返せば、場の空気は悪くなるでしょう。とはいえ、もしかすると、親にも私たちが気が付かない不満がたまっているのかもしれません。お互い、ストレスが爆発する前に(親に判断力があるケースでは)、たまには言いたいことを言い合ってみてはいかがでしょう。ただし、「ヨメ」「ムコ」の立場では、後々わだかまりを埋めることが難しくなる可能性があるので慎重に。