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離れて暮らす親のケア vol.54

NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子

夫婦の親が同時に倒れたら

夫婦の年齢が近いと、それぞれの親の年齢もだいたい同じくらいということが多く、さらにその親が高齢だと、ほぼ同時に体調を崩すことも珍しくありません。

Sさんの両親は2人暮らし。どちらも介護保険は要介護2と認定されており、ホームヘルプサービスとデイサービスを利用して何とか暮らしています。月に2〜3回、Sさんは片道2時間の距離を通います。買い物をしたり、両親の話し相手になったり。「仕事と遠距離介護でへとへとです。でも、定期的に行って両親の異変を見逃さないようにしないと、もっと大変なことになるから」とSさん。

そんなSさんのもとに、先月、遠方に暮らす夫の母親から電話がかかってきました。夫の父親が認知症と診断されたというのです。義母は、「とにかく、1度来てちょうだい」と懇願。夫に話すと、「僕じゃ介護のことはわからないから、1度行ってきてくれないか」との返事。たしかに、夫が行くよりSさんが行く方がスムーズだろうと思ったそうですが……。最初が肝心と、あえて声を荒げたといいます。「私は私の親のことで精いっぱい。これ以上がんばったら、私、倒れるよ。それでいいの?」と。その迫力に驚いたのか、夫は休暇をとって、実家に出掛けていきました。

だれだって、初めての介護はわからないことだらけ……。だからといって、わかっている者が引き受けると、どんどん負担がのしかかります。Sさんのアドバイスで、夫は父親の介護認定を申請。1歩ずつ、介護態勢を築きつつあるようです。

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