健康コラム
離れて暮らす親のケア vol.66
NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。
【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子
「サ高住」の人員体制はバラバラ
離れて暮らす親の介護度が上がってくると、「施設介護」の検討を始めるケースが多くみられます。
NPO法人パオッコでは、月に1回、遠距離介護を行う子世代が集まるサロンを実施しており、そこでは「特養」(特別養護老人ホーム)や、「有料」(有料老人ホーム)という言葉が頻繁に語られます。近頃、その2つに加え、「サ高住」(サービス付き高齢者向け住宅)という言葉もよく耳にするようになりました。国が整備を推進しており急増しているせいでしょう。気になるのは、特養や有料と横並びで語られていること。「リーズナブルな有料」と理解している人が多いようです。実際、入居者の約9割が要支援・要介護、約4割が認知症という報告もあります。
しかし、サ高住は制度上、施設ではなく、賃貸住宅です。サ高住に限らず「介護施設」でなければ、人員体制やそこで働くスタッフの資格もバラバラだといえます。
パオッコサロンに参加されたK子さんの母親も認知症で、サ高住に入居。けれども、症状が進行し、1年も経たずに退去を余儀なくされ困っておられました。
確かに、次の施設を探すのは大変ですが、考えようによっては良かったのかもしれません。想定よりも要介護度が高い入居者が多いために、「サ高住で事故が多発」、なんて報道を目にするからです。
高齢者向けの施設の種類は、数多くあります。同じ種類の施設でも、行っているケアの内容はまちまちです。契約前に見学などを通して、しっかり確認したいですね。