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離れて暮らす親のケア vol.75

NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子

「胃ろう」を勧められたとき

親が高齢などで心身が衰えると、口から食事をとれなくなったり、食べてもむせ込んで肺炎などを起こしやすくなったりすることがあります。医師からは、胃ろうの造設を勧められることもあるでしょう。直接胃に栄養を入れる栄養投与の方法です。

こうした場面に遭遇すると、多くの子どもは頭を抱えます。親にとって、どうしてあげることが幸せなのだろう、と。

Eさんの母親は脳梗塞で倒れ、入院中です。今後、老人保健施設に移る予定ですが、食事をとれる状態でなく、医師からは胃ろうを付けることを勧められました。Eさんは苦渋の表情を浮かべ、「母親はそうまでして生きたいと考えているのか分からないんです」と言います。

親元を離れ、数十年が経過。Eさんに限らず、親と「もしものとき」の話をしていないケースが多いのではないでしょうか。胃ろうを断れば、親の命の灯を短くすることになるかもしれません。

親が元気な間に、胃ろうに限らず延命措置に対する希望を聞いておきたいものです。聞きにくければ、「もし、僕が(私が)……」と、自身が延命の判断をする立場になった場合の希望を伝え、「お母さんは?」と話を振るのも一案です。

胃ろうは、延命だけを目的としているのではなく、治療過程で必要とされるケースもあります。実際、回復後に外し、口からの食事が再開できたというケースも聞きます。医師から提案された場合は、冷静にその理由や目的、デメリットを確認することも大切です。

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