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離れて暮らす親のケア vol.80

NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子

交通費をもらう子と、もらわない子

親の見守りや介護のために実家に通う頻度は、距離などによってきょうだいでも異なることが一般的です。

J子さんは大阪在住。兵庫の実家では80歳代の父親が1人で暮らしています。そこで、月に2~3回、父親に会うために実家へ。一方、J子さんの妹は東京で暮らしています。おおむね2~3カ月に1回、帰省するそうです。「父の介護のことは私がキーパーソンとなり、ケアマネジャーと相談して行っています。通院同行も私の役割」とJ子さん。物理的な距離の問題から仕方ないと割り切りつつも、1つだけ不満があるとこっそり教えてくれました。妹が東京から来ると、父親は「よく来てくれた」と言い、交通費として3万円渡すそうです。

「近いとはいえ、私だって、月に6000円程の交通費がかかっています。お金だけの問題ではなく、父のために費やしている時間は妹の何倍も」とJ子さん。けれども、言葉にすると、妹や父親との間にひずみができそうで口にできないと言います。ぐっと堪えて、「いい長女」であり続けようとしているようです。

交通費をもらう子と、もらわない子。介護期間が1、2年ほどなら問題にならなくても、5年、10年と続くといざこざとなることが珍しくありません。自分だけ交通費をかけ、介護負担も大きいとなれば、「なぜ?」とおもしろくない気分になるのは当然でしょう。お金のことは時間が経過するほど、言いづらくなります。早い段階で介護にかかる費用全体について、家族全員でざっくばらんに話し合いを持ちたいものです。

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