健康コラム
離れて暮らす親のケア vol.90
NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。
【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子
高齢の親とスマホを使って交流
高齢者はITに弱いイメージがありますが、80代以上でインターネットを利用している人の割合は20%以上。70代では50%を超えています(「平成30年通信利用動向調査」総務省)。
10年ほど前からでしょうか。離れて暮らす親との交流に、メールを使うという声を聞くことが増えました。最近は、「LINE」などのSNSを活用しているという人もいます。
関西地方の実家で1人暮らしをするEさんの母親(80歳)は、半年ほど前にスマホデビューをしたそうです。そこで、Eさんは帰省した折、母親にLINEの使い方を教えてみました。思いの外すんなり使えるようになったそうです。「特に話すことがなくても、天気のことや食事のことなど、ちょっとしたことで短いメッセージを送れるので便利です」とEさん。「すぐに返信がなくても、『既読』マークを見るだけで安心できます」。母親からも、庭に咲く花の写真などが送られてくるようになりました。母親とのやりとりの頻度が増え、「以前よりも、身近に感じるようになった」とEさんは言います。おそらく、母親も同じ気持ちでしょう。
同調査によると、スマホでのインターネット利用率は、80代以上では4.6%とそれほど高くないですが、70代では19.7%、60代では46.4%となっています。年々増加しているので、今後は、高齢の親とのコミュニケーションツールは電話よりメールやSNSが主流となっていくでしょう。
「うちの親にはムリ」と思っている人も、教えてみると、案外便利に楽しく交流できるかもしれません。