健康コラム
離れて暮らす親のケア vol.93
NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。
【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子
大きな災害に備える
台風や大雨、地震などの大規模な自然災害が増加傾向にあります。実家で老親だけが暮らしていると、いざというとき、避難できるだろうかと不安に思うものです。
K男さんの母親(80代)は宮城県の実家で1人暮らしをしています。10月の台風19号の際には、心配でならなかったと言います。「風雨の激しい時間帯に電話をかけましたが、母は心細そうでした。でも、何もしてあげられず……」とK男さんは振り返ります。
万全とまではいえませんが、こうした不安を軽減する方法があります。自治体が作成する「避難行動要支援者名簿」に親の名前を登録することです。大きな災害が発生した直後に、地域の住民同士で支え合えるようにするための名簿です。
登録対象は、避難に支援を必要とする高齢者や障害のある人など。登録した情報は地域の消防署や警察署、地域包括支援センター、民生委員などと共有されます。災害発生時には、必要に応じて声掛けや避難誘導などの支援活動が行われます。
もちろん、登録したからといって支援が保障されるものではありません。それでも安心感にはつながるでしょう。K男さんにも名簿のことを伝えたところ、「すぐに登録します」とのことでした。詳しくは市区町村の地域福祉課などに問い合わせましょう。
名簿登録だけでなく、帰省した折には、備蓄品や非常持ち出し品の準備、家具の固定、避難場所や経路の確認など、事前にできるサポートをしておきたいものです。