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ほっとひと息、こころにビタミン vol.11

精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者の大野裕先生が「こころ」の健康についてわかりやすく解説します。

【コラム執筆】
日本認知療法・認知行動療法学会理事長
ストレスマネジメントネットワーク(株)代表
精神科医 大野 裕

外に出て心に栄養を

昨年の暑かった夏が嘘のように、寒い日が続いています。このように寒いときには家の中に閉じこもりがちになりますが、そうした冬眠のような状態は、肉体的にも精神的にもエネルギーを低下させます。何より、そのような生活をしていると生活のリズムが崩れやすくなります。

私たちの睡眠、覚醒のリズムは太陽の光を浴びることで調整されます。朝に目が覚めて太陽の光を浴びることで私たちの身体がリセットされるということは、一般の方にもだいぶ知られるようになってきました。私たちの身体は朝寝坊するようにできています。ですから、寒いからといって家の布団のなかでゴロゴロしていると、だんだんと起きる時間が遅くなってしまいます。

また、家の中にいてだらだらと時間を過ごしていると、何かをしようという気力もなくなってきます。私たちの気力は、ただ待っていても出てきません。これまでの生活を振り返ると分かると思いますが、私たちが何かをしようという気持ちになるのは、何かをしたときです。

あるところに遊びに行って楽しい体験をすると、また行ってみたいと思います。仕事や勉強で期待したような成果が上がると、もう少しやってみようと思います。楽しい体験ややりがいを感じる体験が、脳の中の報酬系と呼ばれるシステムを刺激して意欲が湧いてくるのです。

逆に、何もしないでいると意欲が湧いてこないばかりか、自分は何もできないという気持ちになって、ますます意欲が湧かなくなります。ですから、寒いときこそ思い切って外に出て、楽しいことややりがいのあることをしてみてはいかがでしょうか。

大野 裕(ゆたか)

ストレスマネジメントネットワーク(株)代表。精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者で、日本認知療法・認知行動療法学会理事長。著書に『マンガでわかる心の不安・モヤモヤを解消する方法』(池田書店)など。

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