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ほっとひと息、こころにビタミン vol.44

精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者の大野裕先生が「こころ」の健康についてわかりやすく解説します。

【コラム執筆】
日本認知療法・認知行動療法学会理事長
ストレスマネジメントネットワーク(株)代表
精神科医 大野 裕

フェイクニュースに惑わされない

新型コロナのワクチン接種が進んでいますが、その一方でフェイクニュースともいえる不確かな情報が多く流れているのが気になります。

「ワクチンで闇の政府にコントロールされる」といった情報に対しては「まさか」と思う人が多いと思いますが、「ワクチンを打つと不妊になる」「遺伝子が改変される」といった医学的装いの情報になると、はたして偽情報と言い切って良いかどうか、ためらう人が少なくないのではないでしょうか。

実際に、私の周りにも、妊娠を計画しているからという理由でワクチン接種を先延ばしにしている医療者がいます。その一方で、その人は、妊娠中に新型コロナに感染すると重症化しやすいという情報もあるので、このまま先延ばしにして良いかどうか、頭を悩ましています。

ワクチン接種に限ったことではありませんが、判断に迷ったときには、それぞれの行動を取ったときのメリットとデメリットを考えてみることが役に立ちます。私たちが生きていくなかで、全く問題がないということはまずありません。ですから、自分がこの先どのように進んでいきたいのかを思い描き、そのためにそれぞれの行動がどのように役立ち、逆にどのような問題があるのかを考え、判断していくようにするのです。

もちろん、そのとき信頼できる人に相談してみることも大切です。一人で考えていると、どうしても堂々巡りになってしまうことが少なくありません。そうしたときに、信頼できる人に自分の悩みを話すことで考えが整理できます。他の人の考えを聞いて、新しい考えが浮かぶこともあります。

大野 裕(ゆたか)

ストレスマネジメントネットワーク(株)代表。精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者で、日本認知療法・認知行動療法学会理事長。著書に『マンガでわかる心の不安・モヤモヤを解消する方法』(池田書店)など。

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