HOME > 健康コラム > ほっとひと息、こころにビタミン バックナンバー > ほっとひと息、こころにビタミン vol.94

健康コラム

ほっとひと息、こころにビタミン vol.94

精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者の大野裕先生が「こころ」の健康についてわかりやすく解説します。

【コラム執筆】
日本認知療法・認知行動療法学会理事長
ストレスマネジメントネットワーク(株)代表
精神科医 大野 裕

笑顔や穏やかな表情で、無理なくこころを整える

新たな気持ちで新年を迎えている方は多いと思います。親族や友人が集まって楽しい時間を過ごしている人も少なくないでしょう。私も子どもの頃、福笑いで変顔になったのを見て家族で笑い合ったものです。

仏教で「布施」というと財物を寄付するイメージがありますが、財物が何一つなくても実践できる7つの布施があると聞きました。そのひとつに、にこやかな表情を意味する和顔施(わがんせ)があります。

忙しくしていると、つい表情が硬くなります。電車の中で無表情でスマートフォンを操作している人もよく見かけます。そういうときは、ささいなことでいら立って、他の人とのいさかいが起こりやすくなります。一方、笑顔や穏やかな表情でいると、こころも安定して、少しくらいのトラブルでもそのまま流すことができるようになります。

専門的に「アウトサイドイン(外から内へ)」と言われることがあるのですが、表情や姿勢という外的な要素によって、内的な要素の気分が変わってきます。同じマンガを読んでも、意識的に笑顔を作るだけで、厳しい表情をしているときに比べて「面白い」という評価が高くなることが分かっています。

しかし、精神的に苦しいときに大声で笑うのは逆効果のようです。無理することはありません。自分の気持ちを大事にしながら、そっとそれを和らげる表情や姿勢を取ってみてください。こころに余裕が出てきて自分らしい生き方ができるようになってきます。今年も、無理のない形でこころを整えていけるように工夫していただきたいと思います。

大野 裕(ゆたか)

ストレスマネジメントネットワーク(株)代表。精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者で、日本認知療法・認知行動療法学会理事長。著書に『マンガでわかる!うつの人が見ている世界』(池田書店)など。

バックナンバー

HOME > 健康コラム > ほっとひと息、こころにビタミン バックナンバー > ほっとひと息、こころにビタミン vol.94